黒星の連鎖が止まらない。前節、ホームで京都に敗れ４連敗となった群馬が、ホーム連戦となる今節、札幌を迎えて連敗ストップを狙う。２試合連続無得点の群馬が勝つためには、ゴールをこじ開けることが不可欠。バルバリッチ就任後の初勝利を狙う札幌をいかに崩すか。秋葉忠宏監督対バルバリッチ監督の激将対決、そしてかつて群馬（当時は草津）のエースだった都倉賢と、群馬の選手の熱いバトルが見どころとなる。

札幌・都倉賢が2009年に敷島（正田スタ）で魅せたパフォーマンスは、群馬の伝説となっている。2008年夏に川崎Ｆから群馬へ期限付き移籍してきた都倉は当時からイケメンだったが、実績のないプレーヤーだった。だが、2008年シーズン終盤、もがき苦しんだ末にプロ初ゴールを決めると、翌2009年にはシーズン序盤から爆発。豪快なゴールを次々とぶちこんで香川真司に次ぐJ2得点ランク２位の23ゴールをマーク。結果を残して、神戸へと旅立っていった。

当時、都倉とともに主力としてプレーし、いまもチームに残るのは小林竜樹と有薗真吾、北一真。都倉と２トップを組み、自身最多の５ゴール（10試合出場）をマークした小林は「都倉が前にいたのでセカンドストライカーとしての役割がはっきりとしていた。あいつがマークをひきつけてくれたのでプレーしやすかった」と振り返る。都倉のパワフルなプレーとゴールへの執着心は、多くのサポーターを魅了した。

有薗は、2009年途中にチャレンジャーズチームからトップ昇格。シーズン終盤でチャンスをつかむとそのままレギュラーの座を獲得した。最終ラインで決死の守備をみせていた有薗は「困ったときは都倉に入れれば良かったので助かった。味方にすると本当に頼もしい選手。でも敵に回すと本当に厄介、高さでは分が悪いので自由を与えない守備をしたい」と対策を練る。群馬は、都倉を迎え撃つことで、荒々しく戦うチームの原点を取り戻したいところ。

神戸時代以来、２年ぶりの敷島来襲となる都倉は現在チームトップの６ゴール、札幌のエースとしてピッチに立つ。都倉は30節長崎戦で２ゴールを挙げて連勝に貢献、前節岐阜戦でも前線で最後まで戦い抜いた。リスクを避けて結果を求めるバリバリッチ監督のサッカーにおいて、前線のターゲット役・都倉は重要なタスクを担う。群馬としては、都倉を自由にさせないことが勝点３への条件となる。

群馬は札幌戦当日、「ザスパ女子大集合」と題して、女性ファン獲得のためのイベントを開催する。群馬の１試合平均の入場者数は3,345人でリーグ最低。女子サポーターの獲得で集客アップを図りたい。黄誠秀は「まずはサッカープレーヤーとして戦う姿をみせなければいけない」と試合に集中する。当日、クラブは女子サッカーチームなどを招待する予定だが、彼女たちの視線が都倉に向くことだけは避けなければならない。都倉を封じて、勝利を収めることが群馬のミッションだ。

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2014.09.19 Reported by 伊藤寿学