今更、『大阪ダービー』の注目度の高さを説明するまでもないだろう。8月23日に発売された観戦チケットは即日完売。当日券の販売も予定されていない。そのことからも、当日のスタジアムの熱狂は予想できる。万博記念競技場は興奮のるつぼと化すはずだ。

現時点での両者の成績は、ガンバ大阪が11勝４分８敗の５位、セレッソ大阪が５勝８分10敗の16位。中断前のJ1リーグでは、Ｇ大阪も現在のＣ大阪がいる順位に甘んじていたが、中断明けのJリーグでは再開後の5連勝にはじまって、ここまで黒星はわずかに１つ。着実に勝点を積み上げ今の順位にたどり着いた。それに対してＣ大阪は、中断前こそ第２節から３連勝を飾るなど勢いづいた時期もあったが、徐々に失速。その流れは中断明けのJ1リーグでも修正しきれず、10試合で白星がわずかに１つと、対照的な結果になっている。それもあって、世間一般では『Ｇ大阪が優位』との見方が強まっているようだが、一筋縄ではいかないのが『大阪ダービー』でもある。事実、両者のファン・サポーターは過去にも「特別な試合」だからこその「特別な力」が発揮されてきたことを何度も目の当たりにしてきたはずだ。今季の最初の『大阪ダービー』となった長居スタジアムでの一戦においても、それは然りで、Ｃ大阪のFWフォルランのゴールで幕をあけた一戦は、その後、MF阿部浩之の２ゴールで一度はＧ大阪が試合をひっくり返したものの、再びFWフォルランに芸術的なFKを決められて２−２とされ、勝点を分けた。そのことからも、何が起きるか分からない、特別な戦いが今節も繰り広げられるのは必至。多彩なタレント、攻撃力を備える両チームによって、熱く、見どころの多い試合が実現することだろう。

注目はそれぞれの攻撃力を牽引する選手たち。まずＧ大阪はFW宇佐美貴史、そして前述のMF阿部浩之だ。宇佐美は前回対戦時はケガで離脱していたため、純粋に『ダービー』への欲が高まっていることや、注目度が高いプレッシャーのかかる一戦が「大好物」であり、そうした一戦で必ず結果を残してきたという自信もあって、今節も『ゴール』の予感を漂わせまくっている。しかも、戦いの場が「世界中のどのスタジアムより大好き」だと公言する万博記念競技場となれば、期待は高まるばかりだ。

「僕は大一番で点が取れる男。もちろん、大阪ダービーでも狙います」（宇佐美貴史）。

また中断明けのＧ大阪の好調を語る上で欠かせない阿部も注目選手の一人だ。攻撃のみならず、前線からの精力的な守備力も高い評価を受けている阿部。そのハードワークがＧ大阪の攻撃を蘇らせたと言っても過言ではない。また前述の通り、前回のダービーマッチで２ゴールを挙げていることも彼の今節への欲をより駆り立てているようだ。

「前回対戦時のいいイメージが残っているし、ホーム戦ですからね。チームとしても万博では調子がいいし、ぜひ点を取りたい。先制できればうちの試合になるはずだし、先制されたとしても今のうちの攻撃力をもってすれば逆転できる。とにかく90分を通して自分たちのサッカーをしたい」（阿部浩之）。

対するＣ大阪の注目選手はMF南野拓実だ。直近の柏戦ではゴールこそなかったものの、それまでの公式戦4試合で連続ゴールを挙げるなど、苦しいチーム状況の中で目を惹く活躍を続けている。中でも、9月8日に監督就任が発表され、南野にとってはユース時代の恩師でもある大熊裕司監督の初陣となった、9月10日の天皇杯・磐田戦でのゴールは彼の主軸としてのプライドを垣間みたゴールだった。そんな南野に牽引されチームも徐々に調子を上げている印象も強い。また、彼に続けと同じくアカデミー出身のFW永井龍やFW杉本健勇が勢いを見せつつあるのも頼もしい限り。その勢いを繋げ、波に乗るためにも『大阪ダービー』を征し、前節に次ぐ連勝を目指したい。

この一戦、Ｇ大阪はDF岩下敬輔が、Ｃ大阪はMF扇原貴宏が出場停止。またそれぞれにケガ人を抱えている現状もある。その中でどんな新たな力が台頭し、『大阪ダービー』の歴史にその名を刻む活躍をみせるのか。伝統の一戦は16時、満員のスタジアムで幕を開ける。

以上

2014.09.19 Reported by 高村美砂