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【J2:第31節 岐阜 vs 札幌】レポート:岐阜、1万人超えの長良川で進化を見せるも悔し過ぎる結末…。バルバリッチ監督の初陣に燃える札幌が意地と執念を見せる(14.09.15)

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またしても勝てなかった。1万人を越えた長良川で進化を感じさせるサッカーを披露した岐阜だったが、それは最後の最後で悔しさに変わってしまった。被シュート4本での勝点1。本気で上位を目指しているからこそ、岐阜の選手たちは「すべては内容よりも結果」、「勝点2を失った」と肩を落とした。

ボールロストの目立った前節・富山戦(△0-0)。この結果を受けて、ラモス瑠偉監督はあるテーマを持ってこの試合に臨んでいた。
「今週の練習テーマは、攻守の切り替えとボールをできるだけ失わないこと。中盤で簡単に失わないということだった」。
その解答が、スターティングメンバーに表れている。両SBには森勇介と益山司、ダブルボランチに高地系治と宮沢正史の“岐阜の頭脳”が並び、トップ下には岐阜での初先発となったクレイトン ドミンゲス。両サイドハーフには水野泰輔と太田圭輔、FWには難波宏明がピッチに立った。技術に長けた選手たちで構成する4-4-1-1の新布陣。チーム得点王・ナザリトを欠いたものの、練習の成果は裏切らなかった。

「前半はすごく良かった。守備においても攻撃においても距離感が良かった。相手には何もやらせていなかったと思う」。

宮沢がそう振り返るように、ゲームの主導権を握ったのは岐阜である。中盤3人(宮沢、高地、クレイトン)によるボール回しと、流動的な前線の3人(水野、太田圭、難波)の機動力で札幌を押し込んでいく。そんなボール保持からのパスサッカーを可能にしたのが、もう一つのテーマであったアグレッシブな守備だ。敵将のバルバリッチ監督が「一番重要なことはガッツだったが、立ち上がりから動き出しが相手よりも悪く、受け身になってしまった」と嘆いたように、岐阜が攻守の切り替えの速さと球際の激しさで相手を圧倒。ロングボールやミスによってボールロストの目立つ札幌に対し、ボール保持率はグンと上がった。19分には水野のハイプレッシャーから太田圭が際どいミドルシュートを放つなど、試合の流れは間違いなく岐阜にあった。
そして歓喜は、前半アディショナルタイムに訪れる。クレイトンが高い位置でボールをカットすると、高地のリターンパスに再びクレイトン。「兄(レアンドロ ドミンゲス/名古屋)だけでなく、自分の奥さんと娘も一緒に来てくれていたんだ」。スタンドで観戦する家族の前で放ったミドルシュートは、河合竜二のブロックに当たりながら、岐阜移籍後初ゴールとして完結した。

何とか打開を図りたい札幌。後半になっても状況が変わらないと見るや、バルバリッチ監督は「動き出しの速い選手を入れて流れを変えたかった」と内村圭宏と上里一将を同時投入。しかし、少しずつ効果が表れ始めていたところでアクシデントが起こってしまうのである。パウロンがこの日2回目の警告を受けて退場、数的不利の状況を強いられてしまう。

ところが、これは岐阜にとっても想定外だったかもしれない。この直前にラモス監督は中村英之を投入し、3バックにシフトしたばかり。守備の強度を上げつつ、サイド攻撃を有効打とするためだったが、数的不利となった札幌のハードワーク、集中力が一気に高まったこともあり、試合はオープンな展開に様変わりする。それでも「もちろん追加点が取れたら一番良かったけど、相手はブロックを作って下がっているような状況。どちらかと言うと、2点目を取りに行くというよりかは、相手をうまくいなしながら戦っていた」と宮沢。決定機は作れなかったが、ピンチらしいピンチも皆無だった。しかし――。

迎えた87分、札幌のFK。日高拓磨の蹴ったボールを上原慎也が頭で折り返すと、ポッカリと空いたスペースに走り込んでいたのは2009年に愛媛でバルバリッチ監督の指導を受けていた内村だった。落下地点を正確に捉えた背番号13の右足ボレーは、GK川口能活の右手をはじいてゴールイン。札幌の選手たちはホイッスルと同時にピッチに崩れ落ちたが、どれだけハードワークしていたかを物語るシーンだった。

主導権を握り続けた岐阜としては「手ごたえの感じられる試合だった」(ラモス監督)だけに、悔し過ぎる結果である。ただ、その理由を探すのは難しい。自分たちのミスから何度も勝点を落としてきた今季の岐阜であるが、失点シーンはミスが起こったわけではない。3バック変更後にリードを守ろうと後手に回った印象もあるが、決定機は与えておらず、そのまま無失点であれば“成功”に転じるのだから、すべては結果論でしかない。そう考えると、バルバリッチ監督の初陣に燃える札幌の、数的不利となり後がなくなった札幌の執念に少しばかり上回られてしまったのかもしれない。

以上

2014.09.15 Reported by 村本 裕太
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