「前半はパーフェクトでした」。試合終了後に長崎の高木琢也監督が振り返ったように、長崎は前半、セカンドボールの奪取率で磐田を圧倒し、チャンスを全く作らせなかった(磐田の前半のシュート数はゼロ)。これぞ長崎と言えるアグレッシブな前線からの守備で主導権を握ると、長短のパスを織り交ぜ、左右のサイドからのクロスで磐田を翻弄。試合前に奥埜博亮が「どんな相手に対しても自分たちのサッカーができる時間帯はある」と言っていたが、まさにそんな内容の前半だった。
圧巻は42分。高木監督は試合前に「ウチにとっては先制点が大事になるだろう」と話してたいたが、それが現実のものとなる。この日19節水戸戦以来の先発出場を果たした石神直哉が蹴る高い精度のCKを、前節の札幌戦でもゴールを決めたエースストライカーの佐藤洸一が頭で押し込んだ。磐田相手に先制点。心から渇望していたゴールにスタジアムは揺れた。36分にも石神のクロスから決定的なチャンスが生まれており、前半の主役は誰の目にも明らかだった。
押されていた磐田は後半開始と同時に、宮崎智彦を下げて山崎亮平を投入。システムも3−4−2−1からこれまで慣れ親しんだ4−4−2に変更し、反撃を開始した。すると山崎や松井大輔を中心にパスがまわり始め、長崎の守備陣を翻弄させる。シャムスカ監督の狙いは「中盤にもっと人数を増やすしてセカンドボールを拾うこととパスミスが目立ったということで、距離を取ろう」ということ。システムの変更は明らかに磐田の攻守に安定感をもたらした。
長崎もチャンスがないわけではないが、前半のようにプレスがはまらない。後半は主導権を持って攻撃する磐田とカウンターからチャンスを伺う長崎という構図となった。67分、耐えてきた長崎守備陣がついに突破される。高木監督が「あそこで決めてくるとは。ウチにはないところだ」と賞賛した松井のドリブルと山崎の飛び出しによるコンビネーションプレーで同点に。勝負どころを知る磐田に一瞬の隙を突かれた形となった。その後、長崎も疲れの見えるスティッペに変えて小松塁を投入するなどリズムを変えようとするも決定力を欠き、2点目をあげることはできなかった。
90分の激闘は1−1のドロー。磐田は自動昇格が遠のく痛恨の引き分けとなった。現在、2位の松本との勝点差は9。背後には4位の北九州も勝点1差で迫ってきている。ただし、この試合で間違いなく得たものもあった。後半の試合内容にシャムスカ監督は「リーグのラストスパートになるわけですが、今日の試合で我々の“未来”が明らかになったのではないかと思います。我々の将来を見据えた時、今日の試合によって1つの大きな“決断”を取ることができました」と4バックに戻すことを暗に示した。勝点は1に留まったが、バランスの取れたシステムへの変更はリーグの終盤に向けて見つけた好材料といえるのかもしれない。
また高木監督も「今日ピッチに立った11人の組み合わせは初めてでしたが、違和感なくできた点は良かった」と積み重ねてきたチームのフィロソフィーが選手を代えても発揮できたことを讃えた。選手の個性は違うがチームとして求めてきたものが発揮できるという発見。磐田と同様に長崎も終盤戦に向けての好材料を得た試合となった。32節の横浜FC戦も中4日での対戦となるが、得意な相手でもある。連続してホームゲームでもある。この勢いを継続していきたい。
長崎と磐田が共に分けあった勝点1。それと同時に見つけた好材料。これからのリーグ戦でどう活かすかを楽しみたい。
以上
2014.09.15 Reported by 植木修平
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