今季最多となる17,044人の観客が試合を彩った、今季最後のアルウィンでのナイトゲーム。もちろん、その大多数は松本の勝利を願う側だった。しかし、これほど劇的な結末が待っていようとは予測できなかった。
松本は岩上祐三が累積警告で出場停止、対する岡山も上田康太が負傷で欠場。お互いに主軸を担う選手を欠いた今節。その状況下、岡山は島田譲を起用し、松本は喜山康平を前線に上げるという策を講じて臨んだ。
序盤は一進一退ながら、決定機が多いのはホームの松本。手数をかけずに相手陣内へと攻め込み、9分に船山貴之、12分にはサビアが相次いでゴールをうかがう。しかし先制したのは岡山。20分に片山瑛一の素早いスローインからボールを受けた石原崇兆がそのまま単独で開いたスペースを攻め上がり、放ったシュートは矢のような軌道を描きそのままゴールへと突き刺さる。隙を逃さず、まさにワンチャンスを生かした岡山の強かさが目立った先制点だった。
同じフォーメーションということもあり、各所で1対1の激しいマッチアップが繰り広げられるなか、リードしたことで俄然勇気づいた岡山がカウンターから度々松本ゴールに迫る。対する松本も前線からフォアチェックを仕掛けるものの、岡山のポセッションの前に外されてしまう場面も見られた。ゴール前まで持ち込んでも、中林洋次を含めた最終ラインが体を張って弾き返す。接触プレーからゲームの止まることも多く、松本にとってはフラストレーションを溜めたまま0−1で前半を折り返す。
後半も展開は大きく変わらない。とにかく岡山のボールホルダーへのチェックが速いため、サビア・船山貴之らアタッカー陣は自由を奪われ、ボールを奪われれば高速カウンターで決定機を作られる。本来は自分たちがやりたいはずのサッカーを岡山にされてしまい、反撃の糸口がなかなか見出せない。
主導権は明らかに岡山。いつ2点目が生まれるかという苦しい展開を救ったのは、途中投入された背番号20の左足だった。81分、岡山守備陣のクリアミスから転がったボールに反応した山本大貴が上手く飛び出し、そのまま左足を一閃。中林も反応できずゴールネットを揺らした瞬間、今季最大音量の歓声がアルウィンに木霊した。危機的状況から試合を振り出しに戻し、残り時間わずかながらその行方は全く予測できなくなった。松本が押せ押せで岡山ゴールに迫り、そこを岡山守備陣が体を張って防ぐ。
そして後半アディショナルタイム。松本はCKのチャンスが続き、岡山にとって我慢の時間が続くなか、ドラマが待っていた。CKの流れからボールを拾った岡山は、松本陣内に残っていた荒田智之にパス。これを受けた荒田が一気に持ち込み、ユン ソンヨルをかわしてシュート。最後の最後で決まったゴールは、岡山に3試合ぶりの勝点3を招き入れた値千金の一撃だった。
試合を振り返ると、後手を踏んだ松本だったが途中出場の二人が持ち味を発揮した点は数少ない収穫のひとつか。特に山本は反町康治監督が試合後に触れたようにチームの水にも慣れ、逞しさを見せるようになった。対する岡山は、荒田の復活はまさしく朗報だろう。怪我で長期離脱から戻ったばかりながら、いきなり結果を出すあたりはまさにストライカーの本領発揮。今日の結果こそ勝者と敗者に分かれたが、両チームともにこの先に楽しみな部分が見えた。
以上
2014.09.15 Reported by 多岐太宿
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