9月10日に天皇杯ラウンド16を戦い、延長戦で勝った千葉とPK戦を制して準々決勝進出を決めた北九州。天皇杯ラウンド16と今節の両方ともスタメンだったのは、千葉は山口慶、大岩一貴、幸野志有人の3人だったのに対して、北九州は冨士祐樹と内藤洋平を除く9人。さらに千葉は2試合ともホームのフクアリだったが、北九州は甲府の中銀スタ、フクアリと連続アウェイだった。遠距離移動も含めた身体面の疲労の蓄積は、運動量やプレーの精度だけでなく集中力や判断力など精神面にも影響を及ぼしかねない。だが、そんな影響は北九州からは感じられず、千葉は休養十分の選手がスタメンに多いチームとはとても思えないほど運動量やプレーの精度は不足し、集中力の欠如や判断ミスが目についた。
今節の千葉はセンターバックの山口智が負傷欠場したが、前節(第30節)・京都戦に続いての3失点は選手個々のイージーミスの影響が大きい。
1失点目はPKによるもので、千葉のGK岡本昌弘の動きを見て瞬時に蹴る方向を変えたと思われる北九州の池元友樹のキックは見事だった。ペナルティエリアへ突破を図った池元への千葉の選手(ファウルをしたのは山口慶)の対応が連係ミス絡みで池元の前に体を入れられず、後追いの形のチャージになったミスでPKになるファウルとなった。
2失点目は北九州のCKからでこぼれ球の行方を大岩一貴が目測を誤り、マークしていた北九州の前田和哉をフリーにした。前田の今季初ゴールはこぼれ球に反応よく右足で合わせた素晴らしいシュートで、彼がこぼれ球に対する準備を常に怠らないことを感じさせた。
そして3失点目は、自陣のペナルティエリア近くで相手ボールを奪いながらすぐに前へパスをつなげず、佐藤健太郎が北九州の星原健太にボールを奪い返されたミスから。パスを受けた池元はフリーで前を向いて角度のないところから豪快にシュートを決め、千葉は池元へのマークを外すミスをした。
結果的にシュート8本で3得点の北九州の決定機は得点シーンの3回。シュートの数は少なくても決定率は高いところを今節で見せつけた。また、千葉に24本(後半は18本)のシュートを打たれて後半に1失点したが、最後の場面ではDF陣が体を張り、GK大谷幸輝が好守を連発するなど粘り強かった。特に前半はしっかりとした守備ブロックを築き、千葉の選手を簡単にフリーにさせるミスをしなかった。今節と同じく2−0で前半を終えた前節は後半開始早々の失点を皮切りに連続5失点で敗れたが、その反省を生かして千葉に隙を与えることなく失点よりも先に3点目を奪った。2得点の活躍の池元だけでなく原一樹も北九州がボールを奪うと労を惜しまずに前線へ走って起点になり、ピンチには自陣深くまで戻った。そんな北九州の逞しさは、J1ライセンスがないため順位がどうあれJ1に昇格できなくても「それをモチベーションの理由にする選手はいない。チームも個人もチャンスがあれば上(J1)に行きたいという気持ちが強いから、今、この順位にいるし、その気持ちを大事にしなければいけない」(前田)ことから生まれているようだ。
千葉は守備ブロックを崩すための攻撃のアイデアや工夫を欠き、動きの量も質も不足していた。「引かれた中でマークを1人剥がすという仕事もしなければいけないけど、みんなが縦に推進力を持って入って行けない時間が前半も後半も長かった。あそこで1人剥がす仕事を一人ひとりが自信を持ってやれていれば、また違う結果も生まれたかもしれない。逃げではないけど、ペナルティエリアに入って行く仕事の数が少なかった」と話したのは井出遥也。千葉はディフェンスラインの裏へのダイアゴナルランやサイドを深くえぐってからのクロスなど、相手守備陣が守りにくい形の攻撃が少なかった。自分たちが結果を出せばJ1昇格が叶うのに、攻守でミスばかりで結果を出せないのはもったいなさすぎる。
以上
2014.09.15 Reported by 赤沼圭子
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