「やられた感じはしない。停滞感のあるゲーム」
兵藤慎剛は、この一戦を短い言葉でそう表した。確かに横浜FM側から見れば、2失点とも崩されて決められたわけでなく、それ以外に決定機をつくられたわけでもない。ボールを握る時間も名古屋よりも長かった。「やれた感じはしない」は、そういう意味で間違っていない。
かといって、横浜FMが優勢にゲームを進めていたかと言えば、それは違う。ボールポゼッションで優位に立つも、どちらかと言えば相手にボールを“持たせられた”印象が強い。相手が囲った守備の籠の中で、「パスを出して受けて落としての繰り返しで、あんまりリズムが変わらなかった」(下平匠)。それが横浜FMの選手、サポーターが抱いたと思われる「停滞感」である。
一方、名古屋は、狙い通りの快勝劇を演じきった。試合前14位と残留争いの渦中に足を突っ込んでいたなか、割り切って結果を求め、リアクションサッカーに徹した。
守備ではダニルソンと田口泰士のWワイパーの効果は抜群。適切なポジション取りから、ここ一番でのファウル覚悟の激しい守備で、攻撃の芽を綺麗に拭き取り続けた。田中マルクス闘莉王、牟田雄祐の両センターバックも相手の1トップ矢島卓郎に対し、前を向かせる余裕を与えず、ポストワーク以外、何もさせない。前半、横浜FMのCK0本という数字からも、名古屋が押し込まれる場面が少なかったことが分かる。
そうした中、名古屋が相手の一瞬の隙を見逃さず、確実にゴールネットを2度揺らした。
まず35分、矢田旭が深い位置までドリブルで進み、永井へパス。この時、永井のマークに付いた小林祐三は、永井のスピードを警戒してか、間合いをやや広く確保してウェイティング。そこで永井はドリブルを選択せず、プレッシャーを受けない状態で、右足でアーリークロスを送る。一瞬、ボールウォッチャーになった相手DFの背後から走り込み、ボールに食らい付くような野性味あふれるヘッドで叩き込んだのは、川又堅碁だった。
また48分、2点目のゴールにも背番号32は絡んだ。田口のインターセプトからの速攻で、永井がドリブルで突き進み、一度は中澤佑ニのタックルに止められる。しかし、ルーズボールに反応した川又が相手GKと競って潰れ、そのこぼれ球が永井の目の前に上がり、頭で押し込んだのだ。
2点を失った横浜FM。後半も前記同様、有機的な攻撃をなかなか仕掛けられない。時間が経過すると焦りも混じり単発の攻めが増え、時折、齋藤学や途中出場の伊藤翔や奈良輪雄太が強引にシュートを放つ。しかしながら、枠を捉えきれないか、相手DFにブロックされ、決定機は最後まで訪れることはなかった。
リーグ戦では3連勝中だったが、ケガ人の続出と直近のヤマザキナビスコカップ準々決勝の柏戦での2連敗で、どこか歯車が狂ってしまったのかもしれない。だが、即修正しなければ、上位に顔を出す前にリーグ戦は終わってしまう。
以上
2014.09.14 Reported by 小林智明(インサイド)
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