両チームはミッドウィークにアウェイで天皇杯4回戦を戦い、共に敗戦。タイトな日程となるが、気持ちを切り替えて負けられない1戦を戦う。

磐田のファンならば現在は「こんなはずではない」という思いが強いだろう。チームは天皇杯を含めればここ4試合勝ち星がない。原因の一つとしてあげられるのが守備。明らかにリーグ中盤から失点が増え23節横浜FC戦では４失点、26節福岡戦と29節栃木戦は3失点している。また、27節は最下位の富山にも勝ちはしたものの終了間際に立て続けに2失点を喫している。磐田は今週、非公開練習を行うなどチームからは緊張感が伺える。2位の松本との勝点差は10。残り試合を考えると自動昇格は厳しい状況になりつつある。

そのため、指揮官のシャムスカは天皇杯3回戦（奈良クラブ戦）からシステムを３バックに変更し立て直しを図るが、前述のとおり、すぐに好作用をもたらしているとは言いがたい。さらに悪いニュースは続く。これまで磐田の攻撃を担ってきたMFペク・ソンドンも6日の岡山戦で負傷。左大腿二頭筋肉離れで全治約3〜4週間と診断された。戦力的に大きな痛手となった。ただし、天皇杯4回戦に出場したのは主にサブ組。岡山戦から7人を入れ替えており、前田遼一と松井大輔を温存。長崎と比較すれば体力的には有利になる。

C大阪戦後、駒野友一は攻撃面の課題について「みんなで連動し、ボールを引き出す動きがほしい」と反省点を挙げれば、山崎亮平は「イージーなパスミスが多かった」と振り返っている。リーグ戦のメンバーで望む長崎戦でこの課題を解決できれば、力の差は示すことができるだろう。

一方、ホームの長崎は30節は札幌に、天皇杯の4回戦では延長で千葉に敗れたもののチームに悲壮感はない。古部健太が「札幌戦の後半や、千葉戦の前半など自分たちのサッカーができている」と話せば、奥埜博亮も「自分たちの時間帯はどんな相手にも作れている。課題はそうじゃない時に踏ん張れるかだけ」と極めて前向きだ。

ただし、「自分たちの時間じゃない時の」失点の仕方が頂けない。長崎が最も苦手にしているロングボール攻撃はもはや各クラブが対長崎の常套手段としている。札幌戦では開始２分に都倉賢が重戦車ばりの突進で長崎DF陣を突破。PKをゲットすると、１５分にも同様の形から２失点目を喫した。あまりにもフィジカルを前面に出すタイプのFWに対して弱い。磐田との前回対戦でもアグレッシブな守備で個の力を封じていたが、一瞬の隙を突かれて前田の１発に沈んでいる。高木琢也監督も隠すことなく、「弱いのは分かっている。全員でカバーリングするしかない」とはっきりと言い切る。もちろん、前田と山崎というスピードとパワーを持つ２人を抑えるには、彼らにボールが入る前の「アグレッシブな守備と球際の激しさ」（高木監督）もポイントになるだろう。また、試合前日の１３日は高木監督が長崎で指揮を取るようになって初めての完全な非公開練習となった。おそらく、セットプレーなどでかなりの奇策を打ってくることは間違いない。

なお、この日の試合は６５歳以上は無料招待されるほか、クラブ史上最大数のイベントを会場内外で実施。おそらく今季最も多くの観客がホームスタジアムを埋め尽くすのではと言われてる。さらに、５００台が駐車可能な「パーク＆ライドソニー津久葉駐車場」からスタジアムへ無料シャトルバスを運行。１０台のシャトルバスが約５分間隔で運行する。長崎のファン・サポーターは家族や友人を誘い、格上のジュビロ相手に果敢に挑む選手を後押ししたい。

以上


2014.09.13 Reported by 植木修平