千葉は前節（第30節）でともに２季連続でＪ１昇格プレーオフに進出したライバルの京都と対戦。第29節終了時は千葉が７位、京都が千葉とは勝点差２の８位だった。千葉は勝てば６位に再び浮上する可能性があったが、３−３の引き分け。前半に森本貴幸のゴールで先制しながらも後半から交代出場した京都の三平和司に連続得点を許し、キム　ヒョヌンと井出遥也の得点で３−２と逆転したものの90＋５分に京都のドウグラスに同点ゴールを決められた。Ｊ２リーグ戦の第25節からの５試合は得点がわずか２点（そのうちの１点はＰＫによるもの）で１勝３分１敗と、決定力不足で勝ちきれなかっただけに前節の１試合３得点は好材料。だが、その一方で、関塚隆監督就任後はイージーな失点が減ってきていたが、前節は守備時のマークの甘さや試合運びの拙さを改めて露呈した形となった。
９月10日の天皇杯ラウンド16はＪ２リーグ戦の通算対戦成績が１分３敗と難敵の長崎に、Ｊ２第30節でもスタメンは大岩一貴だけというスタメンで挑んだ。前半は長崎のプレスをまともに受けるパス回しで決定機をほとんど作れず、長崎に得意なサイド攻撃から得点された。後半からジャイールに代わった町田也真人が自身の後半キックオフのパスで田代真一につなぎ、田代のロングパスをケンペスが頭で落としたのを受けて公式戦初ゴール。110分にケンペスが決勝点を奪って準々決勝に進出したが、守備時のマークミスが目についた。

北九州はＪ２リーグでは第21節で愛媛に０−３で敗れて以来８試合負けなし（４勝４分）で４位。だが、前節の福岡戦は前半に池元友樹と内藤洋平の得点で２−０とリードしたが、後半開始早々の47分にＦＫから福岡の堤俊輔に豪快なミドルシュートを決められたのを皮切りに５連続失点。後半の北九州は90分に池元が１点を返しただけで３−５の敗戦となった。福岡は前述の堤、そして金森健志の得点が見事なミドルシュートだったとはいえ、北九州の大量失点はセンターバックでキャプテンの前田和哉の累積警告による出場停止の影響もあるだろう。守備時に隙を突かれ、試合の流れをなかなか変えられなかった。
Ｊ１の甲府と対戦した９月10日の天皇杯ラウンド16は前田が復帰し、福岡戦で負傷交代した冨士祐樹に代わって多田高行が左サイドバック、左サイドハーフは内藤洋平に代わって井上翔太と福岡戦のスタメンから３人が代わったのみ。15位とＪ１残留争いの渦中の甲府は主力が多く欠場したが、北九州は高い位置でボールを奪ってスピーディーに攻めきる形がなかなか作れなかった。それでも粘り強い守りを見せて０−０で延長戦を終え、６人ずつが蹴ったＰＫ戦をＧＫ大谷幸輝の活躍で４−３と制し、初の準々決勝進出を決めた。

千葉が０−１で敗れた前回対戦（第19節で北九州の得点は井上）で、千葉は攻撃の組み立てに時間をかけすぎて北九州に守備ブロックをしっかり作られ、北九州のディフェンスラインのスペースを素早く突く攻撃ができなかった。今節は北九州に守備ブロックを作られる前に攻めきりたいし、遅攻では中盤でのイージーミスで北九州にボールを奪われるのは避け、的確な動きとパスで守備ブロックを崩したい。北九州は八角剛史と風間宏希のダブルボランチが相手の攻撃の芽を摘み、２トップの池元と原一樹を生かした攻撃を組み立てる。池元と原は相手の背後を取るうまさと速さを持ち、前線で体を張って起点にもなる。千葉は北九州の２トップが楽にボールを受けられないようにマークするとともに、２トップへパスを入れさせないようにしたい。前節の引き分けで８位に後退した千葉にとって今節は踏ん張りどころ。Ｊ１ライセンスがなくてもＪ１昇格に値する実力を見せるべく奮闘し、４位につけている北九州を破れなければ、千葉にＪ１昇格の力があるとは言えない。

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2014.09.13 Reported by 赤沼圭子