まずは、前節のShonan BMWスタジアム平塚での激闘を振り返ろう。１位・湘南と２位・松本の直接対決は勝点差が『１５』離れていたとはいえ、戦前から「湘南が勝てば、優勝はほぼ決まってしまう」（岩上祐三）と選手たちは意気高く、あくまでも勝点３を得るべく敵地へと乗り込んだ。結果は、１−１のドロー決着。内容はやはり地の利もあった湘南が上回り、松本は後手に回る展開となった。試合後の記者会見で反町康治監督が「我々が力を出しきった上での引き分け、互角だったと判断しています」と総括したように、松本の選手たちは持てる力を出し尽くした。だからこその勝点１であった。ただ、逆に言えば全力でぶつかっても引き分けに終わったというのも事実である。やはりチームの完成度という点で湘南は一枚上手であった。この結果をどう糧にするかが、この先問われることとなった。

松本にとって、この９月は試練の月だ。まず、上位争い中の直接のライバルとの対戦が続くこと。前節・湘南、今節・岡山、そして第３３節・北九州と対戦。そして、選手の累積警告との絡みだ。前節に警告を受けた岩上は今節、出場停止。精度の高い右足で、松本の代名詞となっているセットプレーの強さに貢献。またロングスローでも相手ディフェンスを混乱に陥れてきた背番号８の不在は確かに痛手だ。ただ、指揮官は「長いシーズン、こういうこともある。新たにチャンスを得た選手の活躍に期待したい」と口にする。「万全の準備をしている」と語る椎名伸志が第一候補となるが、岩沼俊介と喜山康平が警告３枚で“リーチ”の状態にある点も踏まえると、鐡戸裕史の名前も挙がってくる。昨季のホーム岡山戦では試合終了間際に決勝の直接フリーキックを決めるなど、相性は良い。今週の戦術練習でも中盤を試されており、この先の連戦に向けて期待される存在だ。

対する岡山はここ５戦で１勝２敗２引き分けと、数字だけ見れば決して良いとは言えない。ただ、湘南・北九州・磐田など上位チームとの対戦が続いていたことを考慮する必要がある。雨中での激突となった前節・磐田戦は２３分に先制を許したものの、８２分に久保裕一の同点弾でドロー。影山雅永監督は「こういうゲームを勝たないと。本当に勝たないといけないという、悔しさでいっぱいです」と唇を噛むも、強豪相手に最低限の結果は残したとも言える。今節は敵地での一戦となるが、この先に弾みをつけるためにも欲するのは勝点３のみだろう。

同じ３−４−２−１のフォーメーションだけにミラーゲームの様相を呈しそうだが、岡山は個々の選手にテクニックがあり、ポゼッション能力も高い。松本の選手たちもその点で後手に回ることは予想した上で、「ボールを持たれる時間が長くなると思うが、走力で上回りたい」（船山貴之）と決意を述べる。また前線には先述の久保や押谷祐樹、石原崇兆などスピードと打開力のあるアタッカーが揃うだけに、「１対１の場面で負けないこと」（岩間雄大）も重要となる。

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2014.09.13 Reported by 多岐太宿