群馬に残された道は、リーグ戦で結果を示すだけとなった。10日の天皇杯４回戦で名古屋と戦った群馬だったが、名古屋の個の力にねじ伏せられて０−１の惜敗。３回戦で浦和を下し名古屋相手にも健闘したが天皇杯ベスト８入りの夢はかなわなかった。だが余韻にひたっている暇はない。リーグ３連敗中の群馬はホームに京都を迎えて、連敗脱出そして６試合ぶりの勝利を目指す。勝利に飢えたサポーターに歓喜を届けることがチームのタスクだ。

名古屋戦はロビーニョ、エデル、青木孝太をケガや体調不良で欠く状況下でベストは尽くした。クラブとして2004年以来11年ぶりの８強進出を目指したが、名古屋を追いつめることはできなかった。後半30分の失点後に総攻撃へ出るはずだったチャンスを演出する回数が限られてしまった。「相手の個の力に押し込まれてしまい攻撃にパワーを使えなかった」（富居大樹）。今節京都戦もロビーニョ、エデルらが出場できるかは微妙な状況。それでもゴールを奪わなければいけない。

群馬は最近リーグ２試合、シュート数が著しく少ない。２試合のシュート数はどちらも５本。松本戦ではハードプレスに受け身となり、横浜FC戦では相手守備ブロックを崩せなかった。２試合ともロビーニョ不在が影響している部分もあるが、まずはゴールへの執念をみせなければならない。平繁龍一が「闇雲に打ってシュート数を増やせばいいものではないが、意識は高めなければいけない。冷静な判断が必要だ」と話せば、また宮崎泰右は「だれかに頼るのではなくそれぞれが責任を持たなければいけない」と気持ちを込める。群馬はアタッキングサードでのプレー精度と、アグレッシブにゴールに向かう姿勢が求められている。

群馬は５月24日のアウェイ京都戦に３−０で完勝した。だがそのときの京都とは状況が変わっている。京都は６月18日にバドゥ監督を解任、その後は森下仁志コーチが代行をつとめ、６月末に川勝良一氏が監督に就任した。勝負師・川勝監督はスマートなチームに闘争心を注入しチーム改革に取り組んでいる。現在の順位は11位だが、６位大分との勝点差は３。プレーオフ圏内追撃を目指して熾烈な戦いを繰り広げている。京都は前節千葉戦での激闘をドローで終えて４試合連続ドロー。勝てないもどかしさはあるものの負けない強さが生まれつつあるのも確か。川勝監督は前節後に「次がもっと大事になる」とコメントしたが、今節は群馬に乗り込み５試合ぶりの勝利を狙う。

５試合連続で勝利から遠ざかる19位群馬は、これまでは「上」を見る戦いだったが、安心できる状況ではなくなってきた。21位讃岐との勝点差は８に縮まり、「下」を見なければいけない事態になっている。これ以上に差が縮まれば昨季同様、残留争いに引きずり込まれることになる。ファンソンスは「僕らにはリーグ戦しか残っていない。群馬の代表としてプレーさせてもらっているのでプライドを持って戦う」と巻き返しを誓う。残り12試合、これ以上の停滞は許されない。今節は、シーズン終盤へ向けて、希望の灯りをともすゲームとなる。

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2014.09.13 Reported by 伊藤寿学