結果的に決勝戦で敗れてしまうが、準決勝に進出しノバク・ジョコビッチ選手と対戦する際には「決勝に行くだけでもいい」と思っていながらも、いざ決勝進出を決めると「やっぱり優勝してほしい」と思うくらいには欲深い自分の本性が出てきて、ワクワクした感覚を楽しめた。世界の最前線で体を張って戦う自国民の存在は、やっぱり嬉しい。
振り返ってみると、子供の頃からグランドスラムと呼ばれる世界四大大会は、他国の有名選手の対戦を見る舞台としてのみ認識してきた。まさかその舞台のひとつである全米オープンテニスの決勝に日本人選手が立つ日が来るとは思っていなかった。そんなめでたい舞台を生きて見ることができて、感謝したい気持ちになった。
ところが、日本のテニス界は選手育成が難しいと聞く。錦織選手は13歳から奨学金を得て、アメリカに留学し、本場でテニスを徹底的に学んだ。日本国内ではトップ選手を輩出しにくい状態があるのだという。
記憶をたどると、自分の子供時代。近所の学校にはほとんどの校庭にテニスコートが用意されていた。しかしそこで行われているのは、多くの学校でソフトテニスだった。昔から続く伝統だということは理解できるし、そうやってソフトテニスを身に付けた選手たちがまた学校教育の現場に戻り、学校の現場でソフトテニスを教えてきた歴史があるのも理解できる。そうしたソフトテニスに親しんできた皆さんの知恵を借りて、学校教育の場でもっと硬式テニスに触れさせる方法はないものかと思案している。
国家100年の大計、と大上段に構えるつもりはないが、現実に部活の選択肢として、ソフトテニスと硬式テニスのどちらかを選べる仕組みを作るとか、いろいろな選択肢はあるはず。全くボールの打ち方の違う硬式テニスがもっと普通に学校の現場に導入されたら、もっと世界に近づく選手が生まれるのではないか。身近なインフラとして学校があって、そこにテニスコートが普通にあるわけで、これをもっと活用できないものかと思う。一晩にして日本中をあれだけ熱狂させたのは硬式テニスの選手だったわけで、この現実と日本のテニス界は向き合ってほしいと思った。
ちなみにtotoは日本のテニス界にも協力している。先日都内の砧公園に行ったのだが、そこにはtotoの助成を受けたとの但し書きとともにテニスコートが作られていた。もちろんこのコート以外にも、検索をかければ日本中にtoto助成を受けたテニスコートが存在している事がわかる。これらのコートで、錦織選手の活躍を見た子供たちが、グランドスラム制覇を夢見てテニスを習うのだと思うと、totoを購入してきた立場としては少々嬉しさを感じる。
ちなみにサッカー界は、使っている道具が世界と同じものなので、日本国内ででも世界に通用する選手を育成することが可能という点で、恵まれている。先日行われたサッカー日本代表の試合でも国内で育成され、Jリーグ所属選手となった武藤嘉紀選手と柴崎岳選手がそれぞれ1ゴールずつを奪った。また国内で育ってきた若手選手が多く起用されたことも含めて日本中の若手選手に勇気を与えたのは間違いない。
前述のとおり錦織選手は、海外に留学してテニスの実力を伸ばしたという。留学資金を提供する法人が存在したからできたことではあるが、そうする以外に才能を伸ばせない現状に対し、テニス界が異論を唱え、国内での育成方針を掲げるのであれば、その事業をtotoが応援することに対してぼくも、ぼく以外のtotoユーザーも異論はないのではないか。それどころか、ぜひそうしてほしいとも思う。
世界中の様々な競技で、日本人であることが世界での活躍の障害にはならないことを、日本人自らが証明しつつある。そうやってチャレンジする人たちに、totoはこれからさらに支援の手を差し伸べてほしいと思う。
以上
2014.09.12 Reported by 江藤高志(川崎F担当)