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【J2:第30節 湘南 vs 松本】レポート:引き分けにも清しい一戦。緊迫の首位攻防戦は互いに譲らず。(14.09.07)

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試合終了とほぼ時を同じくして雨は激しく降り出した。集中力の高い白熱した展開に水を差してはいけないと、長い笛が鳴るまで空が我慢してくれていたかのように。「一瞬の隙を与えたらやられる、一瞬の隙を突くことができるか」松本の反町康治監督がそう評した密度の濃い一戦は、ともにセットプレーから得点し、1−1で決着した。

「GO J1」選手入場時、湘南側のバックスタンドに浮かび上がった青と黄緑の鮮やかな残像が目の奥にまだ残る立ち上がり、ペースを引き寄せた湘南の先制機は程なくして訪れる。11分、永木亮太のコーナーキックに遠藤航が力強くヘッドを合わせた。怪我から復帰し、第19節磐田戦以来およそ2カ月ぶりに公式戦のピッチを踏んだ永木は、「戻って来たときには直接得点に関わる仕事をしたかった」胸中を明かす。先発復帰したキャプテンのアシストに、この試合を終えてアジア大会に臨む副キャプテンの遠藤が応えた。

その遠藤は悔しさを交え振り返っている。
「前半をしっかり1−0で抑えていれば相手も出てきてカウンターで点を取れるチャンスもあったかもしれない。相手もだいぶ下がってペナルティエリア内に人数をかけていたので、なかなか展開的には難しかった。最後の崩しの精度をもっと高めていきたい」

遠藤が触れたように、松本の戦いぶりは徹底されていた。岩上祐三をトップ下に据え、船山貴之とサビアの2トップの形で臨んだ彼らは、湘南が攻めているときも2トップが前線に残り、虎視眈々とカウンターを狙っている。

湘南の曹貴裁監督は振り返る。
「点を取ってからの10分、守ろうという意識がチームのなかに少しあったことが反省点。相手のセットプレーに力があるなら、ゴール前にラインを引くより、上げて対応したほうがいい。ラインが下がりセカンドボールに対してゴール前がごちゃごちゃになったことが僕は問題だと思っている」

湘南の得点から間もない18分だった。岩上のフリーキックを多々良敦斗が折り返し、ゴール前の混戦のなか犬飼智也が打点高く仕留め、松本がすかさず追いつく。湘南にとっては、PK以外で今季初めて許したセットプレーによるゴールだった。

湘南が相手陣内での攻防に持ち込み、かたや松本が懐に鋭利なカウンターを忍ばせる構図は前後半を通じて展開された。とりわけ松本がボールを奪い攻撃に転じる瞬間は、湘南も今週のトレーニングで意識付けを行なっていたとおりに高い集中力を発揮した。攻撃で数的優位をつくり出すために後ろの数的同数を辞さない彼らの戦いは、言うまでもなく11人全員が集中力を研ぎ澄ましていなければ成り立たない。ボールの出どころに鋭く寄せ、FWも中盤もプレスバックを弛まずホルダーを囲い込む。もちろん失う以前に攻撃をやり切るという意味も同時に有しているに違いない。対して松本も、岩上や途中出場の山本大貴を経由して船山が裏を狙うなど最終ラインとの勝負に持ち込んでいく。8を数えた松本のオフサイドは、湘南がコンパクトフィールドを譲らなかったことも同時に物語っている。

「こういうゲームをやると非常にタフになるなと、試合をやっていて思った」反町監督は選手たちをねぎらいつつ振り返る。一方、曹監督もこんなふうに語る。「攻守におけるスピード感や運動量の部分ではあまり文句のつけようがない試合だった。反さんはハードワークやひとつのプレーへのこだわりといった湘南らしさをこのチームに植えつけられた方。くだらないチームだなとか湘南って偉そうだなと思われるのがいちばん嫌だったので、僕は謙虚にフットボールをしたつもりです。選手もクリーンファイトしてくれた。勝点3を取ることしか考えていなかったので非常に悔しいが、同時に清々しい気持ちも残っている」。

互いに切磋琢磨した勝負は、観る者にも清しさを残して決した。湘南は遠藤がアジア大会出場のため次節以降チームを離れ、松本は次節、岩上が出場停止となる。リーグ戦は残り12試合、いずれも総力が必要とされることに違いはない。

前後半を前に、円陣からピッチにふたつの花が開く。同じ光景を来季以降もまた、見たい。

以上

2014.09.07 Reported by 隈元大吾
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