今季J2最多入場者数を更新する2万636人が駆けつけた大分銀行ドーム。ホームの大声援を背に、今季初の3連勝を狙う大分は勢いそのままに、熊本陣内へなだれ込んでいく。この日、攻撃のポイントとなっていたのはラドンチッチ。相手CBとボランチの3枚に徹底マークされても、圧倒的な高さと強さでターゲットとなった。9分にはゴール前に放るFKをラドンチッチが頭で落とし、林容平のシュートは枠を捉えることができなかったが狙いとする形が出た。
このままラドンチッチを中心に大分が主導権を握ると思われたが、試合の流れが変わり始めたのは、時計の針が20分を回った頃。それまでラドンチッチの競ったセカンドボールを拾えていた大分が、ボールを保持できなくなる。
その要因は2つあった。ひとつは、熊本の選手が空中戦に対し、ひるまずに球際の強さを発揮したこと。さすがのラドンチッチも競り合いばかりでは体力の消耗は否めず、運動量も落ちた。これまでのように相手の最終ラインを下げさせ、間延びしたスペースを利用できず、攻撃がロングボール一辺倒になり単調になったことが、ふたつ目の要因だ。
後半に入っても状況は変わらず、守備に追われる時間が続いた。田坂和昭監督は押し込まれる状況を想定し、ハーフタイムに「攻められている時ほど攻撃のチャンス。ボールを取った時は前の4人を見ろ」と送り出したが戦況は変わらなかった。「サッカーは90分で様々な場面の中でプレーの選択が必要だが、今日は90分間同じペースでやってしまった」と悔やんだ。ラドンチッチという絶対的な存在に頼り過ぎ、ボールを大事につないで運ぶ自らのスタイルを取り戻せなかった。「みんな気付いているのに変えられない」と風間宏矢も首を捻る。今の大分には、ロングボールが飛び交う攻撃の時こそ、中盤に顔を出しパスを受けることが必要である。それを他人任せにしていては、一皮むけきれないままだ。
大分戦負けなしの熊本は、狙い通りのプランで勝利を収めた。「相手のラドンチッチ選手はJ1、J2を含めて、あの高さは圧倒的で、そこをどうするか」(小野剛監督)がポイントであったが、前節から先発メンバーを3人代え、ボールを動かし、ポゼッションを上げることで相手の攻撃を封じた。相手陣内でプレーする時間を長くなると、後半はさらにSBを高い位置に上げ、自分たちに流れを呼び込んだ。その源流となったのが養父雄仁だった。低い位置からビルドアップに左右前後にボールをつなぎ、リズムを作った。80分のゴールも養父がお膳立てした。クロスのこぼれ球を拾い右足を振り抜く。アウトサイドにかかった強烈なミドルシュートはGKに弾かれるも、詰めていたアンデルソンが楽々と押し込み決勝点となった。
リードしてからもラインを下げることなく、「最後までプレッシャーをかけ、ボールをつないだ選手に感謝したい」と小野監督は頬を緩めた。この試合に臨むにあたり、指揮官は「今までやってきたことを取り戻そう」と選手に伝えていたという。そして結果は狙いどおり、対人に負けないタフさと、90分通してプレッシャーをかけ続ける本来の姿を取り戻して勝利した。これから対戦する上位陣にとっては危険な存在になりつつある。
以上
2014.09.07 Reported by 柚野真也
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