J1が18クラブ、J2が22クラブ、J3が11クラブ+J-22選抜とJリーグの裾野は広がっているが、経営面で苦しいクラブは少なくはない。バブル崩壊以降はイマイチとはいえ、まだまだ世界第3位の経済大国の日本なのに、年俸5億、10億という超大物選手を何人もJリーグで抱えることができない。世界中でレプリカユニフォームが売れ、世界中から放映権料を稼ぐことができるヨーロッパのトップリーグとは環境が違い過ぎると言えばそれまでだけど、気前のいいメガスポンサーがいる中東や中国のクラブに叶わないのも残念。でも、Jリーグのいい所は地に足がついた健全経営でいこうとしているところ。それならそれで何か考えられるはず。
日本サッカーは各年代の熱心な指導者や企業や学校体育などの力で支えられてきたが、そのなかでも2大柱は少年サッカーと高校サッカー。そのひとつである高校サッカー出身のプロ選手や指導者は今も変わらず多く、オール市船(市立船橋高校)やオール滝川第二という選手層のJリーグのチームがあったらちょっと面白いのではないかと昔から思っていた。そんなチーム(クラブ)をどうやったら実現させられるのかは分からないが、オール市船なら監督は布啓一郎(元市立船橋高校教員/サッカー部監督。現・JFAアカデミープロジェクトリーダー)さんだし、オール滝川第二なら黒田和生(元滝川第二高校教員/サッカー部監督。現・チャイニーズ台北U-13/U-17監督)さんが監督。2人ともJリーグで監督ができるS級コーチの資格はもちろん持っているし、今は後進に道を譲って違う立場でサッカーに貢献している現役の指導者。OB選手だけでチームを作れるくらいのJリーガー(プロ選手)を輩出しているし、2人が監督時代のOBで現役選手もまだまだ多い。市船なら渡辺広大(仙台)、増嶋竜也(柏)、小川佳純(名古屋)、阿部翔平(甲府)、原一樹(北九州)ら全員を挙げられないくらい。滝川第二なら、ブンデスリーガ1部・マインツの岡崎慎司をはじめ、加地亮(チーヴァス/アメリカ)、森島康仁(川崎F)、河本裕之(神戸)、清水圭介(福岡)とすぐに何人も思いつく。市船OBでは神戸の安達亮監督、群馬の秋葉忠宏監督と2人の現役プロ監督までいるし、熊本の北嶋秀朗コーチら指導者になっている人も少なくなく、育成からトップまで市船OBで現場の指導者は揃ってしまう。
さて、選手が集まるかどうかだが、冗談半分で市船OBの阿部翔平(甲府)にこのアイディアを話すと、「声がかかったら…(布先生のチームに)行くというか、行かなきゃならないでしょうね」と苦笑いしていた。J2の千葉をオール市船、J1神戸をオール滝川第二という訳には勿論いかないだろうけれど、オール清水商業(現・清水桜が丘)、オール国見、オール帝京、オール静岡学園、オール鹿児島実業、オール前橋育英、オール流通経済大付属柏、オール四日市中央工業などのチームでチャリティー・カップ戦でもやれば結構盛り上がりそう。そこに広島、G大阪、C大阪、F東京、東京V、横浜FMなどJクラブの有力ユースOBチームも加えれば、選手が散らばるのでファンやサポーターがどのチームを応援していいのか分からなくなる大会が出来上がりそうで、ゴール裏も不思議な雰囲気になりそうで興味深い。代表選手は呼べなくなるけれど、ワールドカップ予選や国際フレンドリーマッチデーなどでJリーグが休みになるタイミングで、こういうチームでチャリティカップでもできないですかね。そうするとサポートするチームの選手に対する興味が多角的になるだけじゃなく、他のチームの選手に対する興味が増し、情報が増えてtotoの予想に役立つ…かも知れません。
以上
2014.09.05 Reported by 松尾潤(甲府担当)