9月に入り、秋の感じが徐々に感じられるようになった。同時に、J2のリーグ戦は残り13試合と佳境に入ってきた。混戦のJ2にあって、J1昇格プレーオフ出場という大きな目標に向けて、どのチームも勝ち続けないといけない状況になっている。その状況を、横浜FCは「目先の一勝」と表現し、群馬の秋葉忠宏監督は「ワンマッチ」と表現する。その1試合に賭ける姿勢を、しっかりと勝点3に結びつけられるか。単にサッカーのスタイルだけでなく、局面での激しさや攻守での集中力といったディテールで相手を上回るプレーを出すことが重要となる一戦だ。
横浜FCは、その意味で前節の福岡戦(8/31@ニッパ球)を狙い通りの形で勝利することができたと言って良い。局面で激しく来る福岡を相手に、その福岡のお株を奪う激しさで主導権を奪い続けた。守備の要であるドウグラスを出場停止で欠いていたが、代わりにCBに入った松下裕樹と、ボランチに入った安英学が、冷静かつ闘志溢れるプレーでチームに魂を注入し続けた。この群馬戦も引き続きドウグラスが出場停止となるが、前節に表現できた球際の激しさを、この試合でもより強く表現することが基本となる。前節の試合後の記者会見で、山口素弘監督は「群馬の秋葉監督が見てくれているでしょう。次(のフォーメーション)はわかりませんよ。(DFラインは)3枚で行くかもしれません」と、この試合を意識した駆け引きのような発言もしていたが、どのシステムを選択するにせよ、局面で相手を上回るパフォーマンスを出し続けられるかが、大きなポイントになる。
そして、勝点3を取るためにはゴールが必要だが、横浜FCは後半戦に入ってゴールを奪うパターンを確立してきている。決して強烈なストライカーがいるわけではないが、スムーズなサイド攻撃と、精度を増しているセットプレーからの得点が増えている。偶然ではなく、ゴールまで狙いを持った形が増えていることは大きな自信となっている。特に松下年宏のキックの精度は非常に上がっており、この試合でも注目したい。
対する群馬は、天皇杯3回戦で浦和に勝利するなど地力を持っているチーム。しっかりとボールを運んで行くスタイルは徐々に真価を見せている。一方で、そのスタイルが最近の試合でリーグ戦の結果に結びついていない。前半での失点、特にこの2試合は早い時間での失点が目立っている。前節の松本戦では、立ち上がりから松本の運動量と局面での激しさに主導権を握られ続けてしまった。宮崎泰右は「相手のサッカーに対して受け身になってしまい、リズムを作ることができませんでした。後ろ向きになってしまい、相手のプレスにハメられた」と試合後に語ったが、その反省を生かして、この横浜FC戦では特に立ち上がりで自ら主導権を奪いに行く姿勢と激しさが重要となる。この試合ではクォン ハンジンが出場停止となるが、代わりに出る選手や、前節Jリーグデビューを果たしたカイケなど、新しく出場する選手が群馬の新しいリズムを作っていきたいところだ。
前回の対戦(5/31@正田スタ)では、2-0で横浜FCが勝利。かつて群馬で中心選手だった、横浜のマツチェラーノこと松下裕樹のフリーキック2本(1本は跳ねかえりがオウンゴール)と、中盤での精力的な動きが群馬を封じた。その試合後、秋葉監督は「うちは松下がいなくなっても戦えることを示さなければいけなかったが、これでは松下にやられたと書かれても仕方がない。アウェイでは松下以上のプレーをうちの選手がみせてやりかえすために、チームはもっと成長していなければいけない」とリベンジを固く誓っている。この言葉を忘れずに、群馬はマツチェラーノを超えられるか、この攻防がこの試合最大の見所だろう。もちろん、両チームともパスを繋ぐスタイルが基本。個人への注目だけでなく、そのパスワークを上手く引き出すチームプレー、相手のパスワークを寸断するチームプレー。チームで賢く戦える方が勝点3を得ることになるだろう。
冒頭に書いたように、早くも残り13試合。これからは1戦1戦がしびれる試合となる。1分たりとも見逃せる時間は無く、声援を途切れさせて良い時間もない。ニッパツ三ツ沢球技場は戦いの場となる。ぜひ、スタジアムに足を運んでいただき、両チームへの熱いサポートをお願いしたい。
以上
2014.09.05 Reported by 松尾真一郎
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