立ち上がりの柏は、アウェイゲームの定石通り、守りから入る。ベースは3−5−2のシステムながらトランスフォーム。両ウイングバックが引いて、2シャドーの高山薫、工藤壮人がダブルボランチの両脇に下がり5−4−1の並びに変形し、ガッチリ守りを固めた。
ボールを奪えば、横浜FMの好調ボランチ2枚・中町公祐、小椋祥平の出足鋭い守備に「引っ掛からないように」(大谷秀和)、手前よりも遠くを見て長めのカウンターを狙う。そのように慎重にゲームを運び、30分前後からは両ウイングバックが徐々にオーバーラップを仕掛け出す。それをきっかけに試合は動き出したように思う。
まず35分、中村俊輔の大きな展開から速攻。左に流れた伊藤翔が縦に仕掛けてクロスを送り、小林祐三がフリーでフィニッシュし、ポストを叩く。柏は40分にゴール前の混戦からこぼれ球を拾った太田徹郎が縦へ突っ込み、GKと1対1の局面を迎えたが、GK榎本哲也の好守に阻まれる。44分には再び横浜FMに決定機が。FKからのルーズボールに伊藤が反応し、ゴール至近距離から反転シュート。これを柏GK菅野孝憲が動物的とも言えるすばらしい反射神経で足を伸ばしシュートブロック。お互い決めきれず、前半は0−0で折り返す。
後半開始と同時にスタンドが少しザワつく。アナウンスで中村俊輔と三門雄大が交代したことが告げられたからだ。中村は負傷により、ピッチをあとにした。この不測の事態に横浜FMは藤本淳吾をトップ下に据え、守備的な三門を右サイドハーフに配して対応した。
試合はさらに大きく動き、いよいよ均衡が破れる。63分、柏・茨田陽生の自陣からのロビングボールでカウンター。相手DFのクリアミスを誘発し、それを狙って奪ったレアンドロがコースを突くダイレクトボレーで沈める。だが2分後、横浜FMもすぐ反撃。右サイドで細かく繋ぎ、小林の右クロスを、ファーで中町が体ごと押し込む気迫のゴールで追いつく。
ここで横浜FMは、ホームで勝ち切ろうと「攻め急いだ認識はない」(三門)が、リスク管理が万全ではなかったのは確かだろう。この日、何度か見られた柏の得意な攻撃パターンで、決勝ゴールを奪われる。74分、センターライン付近で近藤直也が、相手FWがターンするのを待ち構え、ボールハント。そこから一気呵成のカウンターが発動。太田が縦にクサビを入れ、走り込んだ高山がダイレクトで落とし、工藤がきっちり勝ち越しゴールをゲットした。
再度追いつきたい横浜FMだったが、76分に栗原勇蔵が2枚目のイエローカードをもらい退場。すでに中村、中町が負傷交代し、本来なら最後の1枚は攻撃の交代カードを切りたかったが、次戦を踏まえ、これ以上失点できないとベンチは判断し、栗原の位置へファビオを投入。また、選手たちも昨年大会の準決勝初戦で、0−4と柏に大敗した教訓を生かす。要は前掛かりになり過ぎることなく、それ以上の深手を負うことはなかった。
次戦も負傷中のラフィーニャと齋藤学の“飛車角”を欠く可能性は高い。さらに負傷退場した“王将”中村の出番も危ぶまれる。逆転ベスト4進出のためには「捨て身の覚悟でやるしかない」(小椋)。とはいえこの日、したたかで緻密な戦いの設計図を描いた柏・ネルシーニョ監督は、相手の心理を逆手にとる作戦に出るだろう。第2戦も実に興味深い。
以上
2014.09.04 Reported by 小林智明(インサイド)
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