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【ヤマザキナビスコカップ 神戸 vs G大阪】レポート:“神戸キラー”宇佐美の一発でG大阪が先制も、神戸がマルキの華麗なシュートで同点に。計シュート30本の“撃ち合い”はドローで次節へ。(14.09.04)

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やはりこの男はスゴかった。昨季J2第25節の対戦で神戸から2ゴールを挙げたG大阪の宇佐美貴史が、今年3月のヤマザキナビスコカップ予選第1節、7月のJ1第17節に続き、この日も神戸からゴールを奪ってみせた。まさに“神戸キラー”だ。振り返れば、彼が2011年にバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)へ移籍する前のJ1ラストゲームでも神戸戦で1ゴール1アシストの活躍を見せている。今回の対戦でも、宇佐美はピッチで躍動した。

前半11分。倉田秋がパトリックとのパス交換で右サイドを崩すと、中央にいた宇佐美へ横パスを供給する。それを巧みなトラップでボールコントロールし、豪快なミドルシュートを突き刺した。「今日で(連続得点は)終わるやろって言われて試合に臨みました。自分でも続くとは思っていなかったけど…(連続得点)続きましたね(笑)」と、宇佐美は試合後の囲み取材で笑みをこぼした。
その後も、28分過ぎにはハーフウェイライン付近でボールを奪った宇佐美が、神戸のCB岩波拓也をフェイクで交わすと、そのままスピードを上げてゴール前までドリブル突破し、惜しいシュートも放っている。パトリックと宇佐美の2トップ、それに絡む両サイドハーフの倉田と阿部浩之。超攻撃的なG大阪のオフェンスカルテットは再三にわたって神戸ゴールを脅かしていた。

だが、前半のチャンスメイクでは神戸の方が1枚上だった。G大阪よりも5本多いシュート数13本が物語るように、決定的なシーンもいくつかあった。例えば、12分過ぎ。この日、マルキーニョスと2トップを組んだ田代有三が、杉浦恭平とのワンタッチパスの交換でフリーになると、G大阪のGK東口順昭が思わずボールをこぼすほどの強烈なミドルシュートを放った。30分頃には高橋峻希、田代、ペドロ ジュニオールと流れるようなワンタッチパスがつながり、シュートまで持っていっている。極めつけは34分。ペナルティエリア右外の好位置で得たFKを、マルキーニョスが壁の下へ低い弾道のシュートを通し、右ポストに嫌われる決定的なシーンもあった。
0−1で迎えた後半も共に攻めの姿勢が続く。開始早々からG大阪の倉田に惜しいシュートがあり、52分頃には右サイドに流れてパスを受けたパトリックが、ゴールライン際をドリブルでえぐるシーンも。G大阪にやや主導権が傾きかけたが、神戸が56分にスピードのある石津大介を投入すると徐々に流れが変わっていく。そして64分に同点ゴールが生まれた。バイタルエリア付近でボールを受けたシンプリシオが、チョップキック気味に相手DFの背後へ浮き球を供給すると、それにマルキーニョスが反応。角度のないところからボレー気味のダイレクトシュートを放ち、それがG大阪ゴールへと吸い込まれた。

その後は神戸がG大阪を押し込み続けたが、結局、追加点が奪えずに1−1のドローで今季3度目の対戦は幕を閉じた。
試合後、G大阪の長谷川健太監督は「ファーストレグでアウェイゴールを取って引き分けることができたので、(中略)セカンドレグに勝てば次のラウンドに進むことができるので、しっかり準備して次戦に向かいたいと思います」と、1−1という結果を前向きに捉えた。ホーム&アウェイのノックアウト方式で、アウェイゴールは貴重である。遠藤保仁は「(第2戦で)失点しなければ自動的に上にはいけるので、それはうちのアドバンテージになる。また、うちが1点とれば相手にとってはかなりのプレッシャーになると思います」と、宇佐美の1点の重みを口にする。
だが、神戸にとってもこの1−1は気持ちを切り換える上でベターな結果かもしれない。86分にレフェリーへの抗議で退席処分を受けた安達亮監督の代理で記者会見に臨んだ木山隆之コーチはこう話す。
「2戦含めての勝ち上がりなので、次の試合が全てを決める試合になります。それに向けて全力でいい準備をしていきたいと思います」。勝てば4強入り、このシンプルな状況は気持ちを切り換える上でプラスに働く可能性は充分にあるだろう。
日本代表の10番・森岡亮太が不在の中、4−4−2システムが機能し、田代&マルキーニョスの2トップが躍動した。課題でもあった幅のある攻撃も展開でき、アウェイゴールは奪われたものの好感触もつかんだ。第2戦で安達監督のベンチ入りは許されないが、この第1戦で神戸がつかんだ手応えは大きい。
運命の関西ダービー第2戦は9月7日(日)18:00キックオフ。すべては4日後の万博で決まる。

以上

2014.09.04 Reported by 白井邦彦
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