夏休み最後のホームゲーム。長崎は前回対戦の雪辱(0−1)を晴らすかのように、小松塁の鮮やかな2ゴールで勝利をあげた。この試合の勝利は長崎にとっては単なる勝ちではない。待ちに待った4ヶ月ぶりのホーム戦の勝利だ。さらには無失点での勝利は開幕戦以来。サポーターにとっては特別な夏の夜となった。一方の富山は9戦勝ちなし。この日、21位の讃岐が岡山に勝利したため、勝点差は10に広がってしまった。一層、厳しい状況に拍車がかかった。
試合終了後のホイッスルが鳴った際の長崎県立総合運動公園陸上競技場はまるで優勝したかのような大歓声に包まれた。誰もが待ち望んだ勝点3。4月20日以来流れる「I will survive」。大きな手拍子が鳴り響き、ゴール裏ではサポーターと選手、さらには高木琢也監督まで一緒になり恒例の「ノリノリ長崎」ダンスを披露した。指揮官は試合後の会見で照れたように「ノリノリダンスは入りが分かりにくいので改善の余地があるかも(笑)」と言及するも、「全員で喜べることはこういうことだと思いますし、苦しいのは我々だけではないと思います。サポーターの皆さんも非常に応援してくださって、目先のことだけではなく、末永く応援してくださる姿勢というのも何度か話をして僕も把握しています。そういう人たちのためにも頑張らなくてはいけない」と暖かいサポーターに感謝の言葉を口にした。
一方、粘り強い守備で「ゲームプランどおり試合を運べた」という富山の安間貴義監督も86分と92分の小松のゴールに屈した。「最後の越えなければいけない壁、越えられない壁でもありますが、それをなかなか越えられないのが今季です」と最後の最後での2失点を悔やむ。長崎と同様に結果を何より求めて戦い続けるも、現実は厳しい。
今節は中島翔哉のレンタルバックや秋本倫孝の出場停止、さらにはDFラインに怪我人を多数抱えるなど勝利のための好材料は多いとはいえない。この日はほとんどと言っていいほどアタッキングサードでは攻撃の形を作れず、長崎にとって脅威となりえなかった。
ただ、勝った長崎もドラマチックな勝利の影に隠れてしまったが、課題は山積している。この日の勝利のほとんどは小松の「個」に頼ったものだった。高い打点のヘディングとDF2人を置き去りにしたドリブルシュート。90分間で組織として攻撃の形は作れず、スティッペ、小松、東浩史といった前線の3人の組み合わせは初めてだったものの、あまりに攻撃は「チグハグだった」(高木監督)後半は何本もクロスを左右から上げ続けるも、神埼大輔の最後のクロス以外は精度を欠いた。それよりも頂けないのは、試合前に「必ず勝つ」と多くの選手が口にしながらも、リスクを犯せず、縦パスの少ない腰の引けた前半の試合内容だ。これは富山にも言えることだが、ミスからの失点を恐れるあまり、プレーが臆病になるほどサポーターにとって悲しいことはない。
高木監督は「(攻撃の形を作ることは)そんなにすぐ解決する課題ではない」と話す。今節の勝利を次節の札幌戦やミッドウィークの天皇杯4回戦に上手く繋げたい。一方の富山。ベテランの大西容平は試合後、「(21位との勝点差が開いたが)負けたら終わりなのではない、諦めたら終わり。逃げずにやる。はね返すだけの力はあると信じている」と自らに言い聞かせるように話した。シーズンはまだ終っていない。
以上
2014.09.01 Reported by 植木修平
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