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【J2:第29節 群馬 vs 松本】レポート:群馬が松本のプレスに屈して完敗。正田スタは松本の“ホーム”と化した。(14.09.01)

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J1基準の観客数を満たすため今季ゴール裏スタンドが拡張された正田スタだが、初めてゴール裏が満員になる光景をみた。ゴール裏を埋め尽くしたのはホーム群馬ではなくアウェイ松本。キックオフ前からリズミカルでテンポの良い応援を繰り出すその雰囲気は、完全に“ホーム”。ホームジャックを許した群馬は、松本の迫力のプレスに圧倒されて為す術なく敗れた。1−3の完敗。クラブ力の差をまざまざと見せつけられたゲームだった。

4試合ぶりの勝利を狙う群馬だがアクシデントに襲われる。週末のトレーニングで負傷したロビーニョが出場を回避、代わりにエデルが先発出場。ベンチには今夏に加入した新ブラジル人カイケを入れて迫力を加えた。対する松本は、これまでと同じ固定システムで勝点3をうかがう。対戦相手によってシステムを変えることが多い群馬は4−1−4−1の変則布陣でゲームに臨んだが、そのシステムがハマらずに序盤から防戦一方。チーム力、迫力の差は立ち上がりから歴然だった。

相手のプレスに腰が引けた群馬は、消極的なプレーを繰り返しては松本にボールをカットされ続けた。9分、左サイドでボールを奪われると、駆け上がってきた田中隼磨に鋭いクロスを上げられる。そのクロスへの対応が遅れて、岩沼俊介に先制ヘッド弾を許してしまう。「相手のプレスにビビってしまい、後ろ向きのプレーになった」(GK富居大樹)。前半に群馬が放ったシュートは1本。何もできないままハーフを折り返す。

後半もゲームの大勢は変わらない。業を煮やした群馬は60分に、ケガ明けの平繁龍一を投入しリズムを変えにかかる。松本がプレスのギアを下げたことにより群馬がボールを握る時間帯は長くなっていく。だがそれも松本の策略だった。74分、群馬はCKのチャンスを得るが好機が一転して危機となる。相手GK村上智彦からの鋭いカウンターで一気に攻め込まれると、山本大貴に追加点を流し込まれて0−2。77分には、船山貴之の強烈すぎるFKのこぼれ球を喜山康平に詰められて0−3。直後にベテラン金沢浄が意地のゴールを決めて1点を返したが、反撃もそこまで。闘志をみなぎらせて戦う松本の前に、群馬は屈した。
松本は、理屈抜きで強かった。過去の対戦では勝てる要素はあったが、この日の戦いでは群馬が勝つ可能性は限りなくゼロに近かった。反町康治監督は「アグレッシブにボールを奪いにいってくれた。パーフェクトではないが、攻守の切り替えの速いサッカーができた」と語ったように、群馬の選手をなぎ倒してボールを奪い続けた選手のパフォーマンスは圧巻だった。「僕たちは難しいことはしていない。相手より多く走って、相手より闘うことだけを考えている」(田中隼磨)。サポーターの強力なバックアップを受けて進撃を続ける松本は、次節、首位湘南へ挑む。

群馬にとっては、紛れもない完敗だ。これまで取り組んできたポゼッションサッカーが、松本のプレスによって木っ端みじんにされた。相手のプレスを恐がり、ボールを後ろへ下げる戦いでは、サポーターの支持を得ることはできない。秋葉忠宏監督は「なぜJ2・3年目の松本が強いチームになったのか考えなければいけない」と話した。「鶏が先か、卵が先か」の論議だが、チームがサポーターを魅了する戦いをみせなければいけない。また予算を上げるためのクラブの企業努力も必要だ。

松本が地域クラブの理想形であることは間違いない。この試合は群馬と松本のクラブ力の差が結果につながったと言える。今季の平均入場者数がJ2最下位の群馬だが、フロント、チーム、サポーターが同じビジョンを持って、地域に愛されるクラブ作りをしなければ松本との差はさらに広がってしまうだろう。正田スタのホーム側ゴール裏を満員にすることが、クラブ再生の第一歩。地域のチカラを結集すれば、それは不可能ではないはずだ。

以上

2014.09.01 Reported by 伊藤寿学
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