チームの対戦成績が積み重なることで浮き上がる“相性”というのは、どうしても話題になりやすい。それは対象となるチーム同士がプロとして出してきた結果であり、過去については動かせないものであることは事実だ。だが未来に関しては違う。血の通った人間同士がチームとしてプレーしているこの競技に限らず、相性というものは互いの成長によっていくらでも変わるものだ。それを、この日は横浜FMが仙台相手に証明した。
J1第7節における前回の対戦では仙台が2-0で勝利。セットプレーのチャンスを二度生かしたものだった。横浜FMの樋口靖洋監督は試合前のミーティングで「セットプレーでゲームが動いて、セットプレーでゲームが決まる」ということを強調。加えて、「2010年からウチは勝っていないが、今日でそれをやめよう」と呼びかけたと、試合後の会見で監督本人が明かした。
「今日はそういう話がよく出ていたので、結果につながって良かった」と試合後に振り返ったのは栗原勇蔵。彼は18分に自ら先制点を決め、90分を通しても守備で大きく貢献した。横浜FMは樋口監督が「誰一人さぼることなく、作業を続けてくれた」と選手を称えたように、栗原や中澤佑二が仙台のロングボールに競り勝ち、そのこぼれ球を中町公祐と小椋祥平のボランチを中心に回収。それが素早く流動的な攻撃陣に託され、ラフィーニャと齋藤学の欠場を感じさせない迫力を見せていた。
一方の仙台は、負傷から第18節大宮戦以来の先発復帰を果たしたウイルソンを中心に攻撃を組み立てようと試みたが、終始横浜FMのプレッシャーに押される展開に。カバーリングの利いた守備で伊藤翔や藤本淳吾の飛び出しを食い止めていたが、ボールを取った後に「相手のプレスに追いこまれて、逃げるクリアしかできなかった」と石川直樹が反省したような対処にとどまった。
それでも仙台は31分に相手ボランチのプレッシャーをクロスで飛び越すかたちで攻撃し、最後に太田吉彰の折り返しを菅井直樹が決めて追いついた。このような場面を多く作ることができれば流れを取り返すこともできたかもしれなかったが、ハーフタイムや試合中の修正も実践に至らず「後手に回ったままだった」(上本大海)。
仙台の渡邉晋監督は押し返すために、交代選手を3人とも攻撃的ポジションから選択。パスの供給役となる野沢拓也を送り込み、さらに赤嶺真吾を投入して空中戦からポイントを作り、前線でボールを落ちつかせる柳沢敦でたたみかけた。だがセカンドボールの攻防で勝てず、この3人にいいかたちでボールが渡ることは少ないままだった。それでも仙台は横浜FMの猛攻に耐え、カウンターからチャンスも作ったが、榎本哲也のファインセーブで止められた。
このまま1-1で仙台が耐え抜くかと思われた90+3分に、試合はまたしても横浜FMのCKから動いた。中村俊輔の正確なキックに、今度は下平匠が相手マークを振り切って合わせ、決着をつけた。押しながらも決まらなかったゴールを決める、“もう一押し”として、得意のセットプレーが効いた格好だった。
横浜FMが主力を欠いても3連勝を達成できた一方で、仙台は今季3度目の連敗。第7節の対戦終了時とは好対照な表情を、両チームは見せることとなった。横浜FMが相性を変えることができたように、今度は仙台がこの結果を2週間後の次節に生かせるか。未来を変えるための努力が求められる。
以上
2014.08.31 Reported by 板垣晴朗
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