“バレー6連発”で柏を突き落とした入れ替え戦から9年が経った。その2年後には、今度は日立台で甲府のJ2降格が決定するなど、以前は因縁関係にあった両者。だが、あれからずいぶん年数が経ち、当時を知る選手も少なくなってきたことで、かつての因縁も、もはや過去のものになりつつある。
それよりも、柏と甲府の現在の関係は、「互いに相手のホームで勝てない」という部分にクローズアップされるのではないか。
柏は、田中順也とジョルジ ワグネルの反則級のシュートが決まって、2011年に山梨中銀スタジアムで4−1の快勝を収めたことはあるが、リーグ・カップを合わせた直近の3試合は、山梨中銀スタジアムで未勝利。リーグ戦に限れば、昨季は1−3、今季は0−3と、甲府の守備と策略に見事ハマってしまい、2年連続で完敗を喫している。
一方の甲府も日立台との相性が悪く、2010年のJ2時代に2−2の引き分けこそあるものの、その他の対戦は2005年の入れ替え戦を除けば全敗。2011年以降、リーグと天皇杯では日立台3連敗中である。
そんな鬼門の日立台に乗り込む甲府、リーグ再開後はいまだ勝星がない(5分2敗)。前節のG大阪戦こそ3−3という撃ち合いを演じているが、悩みの種はリーグ再開後の7試合中4試合が無得点というように“ゴール欠乏症”にある。守備面はある程度計算が立つだけに、あとはどうやってゴールを決めるか。そうなると、必然的に攻撃陣に注目が集まる。
まず、前節はスタメンから外れたクリスティアーノがスタメンに戻る公算が大きい。キリノの加入によって刺激を受け、おそらく彼のモチベーションはMAX。G大阪戦では、惜しくも得点にはならなかったが決定的な場面も訪れた。このアタッカーに対し、ここ2試合でペドロ ジュニオール、マルキーニョス、ケネディ、レアンドロ ドミンゲス、川又堅碁など、強烈なアタッカーと対峙し、早くも柏の主軸選手の1人になった新加入エドゥアルドとの“元栃木対決”は、この試合の大きな見どころになりそうだ。
さらに注目したいのが、2シャドーの一角を務める甲府期待の若手・稲垣祥。攻守に労を惜しまず、前線に跳び込んできたと思ったら、すぐに守備に戻る献身性。こういう絶対に手を抜かない選手が前線いるからこそ、甲府は厄介なチームなのである。
試合の流れとしては、今季第14節の対戦のように、甲府が守備重視の布陣を組み、その堅い守備を柏がどうこじ開けるか、という展開が濃厚か。
柏は、天皇杯3回戦の千葉戦、前節の名古屋戦と引いた相手に手を焼いた。ガッチリ守備を固める甲府にも苦戦が予想されるが、今回こそ過去2戦の反省や課題を生かし、引いた相手の守備を崩す手立てを見つけ出さなければならない。
そこで、工藤壮人がポイントとして挙げるのがミドルシュートだ。「G大阪は、宇佐美(貴史)がすごいミドルシュートを決めたけど、引いた相手が出てこないのなら、遠目からでもどんどん打っていくことが大事」(工藤)。また、高山薫は、名古屋戦の同点ゴールにつながった自らの裏への飛び出しについて、「あの形を増やしていきたい」とイメージしており、中央から射抜く攻撃の重要性を話していた。柏には、サイドアタックの形は十分確立されている。ただ、千葉戦ではそれに固執する傾向が強すぎ、変化に欠け、相手の守備も同じリズムの柏の攻撃に対し、おそらく守りやすかったと思われる。G大阪は、得点には至らないまでも、パトリックと宇佐美の2人の連携でダイナミックに甲府の中央の守備を突破する場面を作っていたが、柏も縦パスを制止した味方の足元ばかりに付けるのではなく、複数人が連動して、変化を付けながら中央を崩す形を作りたいところ。それによって、ストロングポイントであるサイドアタックの威力も増幅する。
柏、甲府とも、それぞれスタイルは違っても、どう攻撃を仕掛け、相手の守備を打ち破るかという点が問われる一戦になる。
甲府が、堅守に攻撃力の上乗せを図り、システムを3−4−2−1から3−5−2に変え、攻撃的に出てきてくれるのならば、それはむしろ柏にとっては好都合だ。川崎F、神戸といった攻撃的なチームは、前に出てきてくれたことで、柏は術中にはめ、8月に入ってこの難敵を複数得点で下している。
先日、アギーレ監督率いる新生日本代表のメンバーが発表になった。柏と甲府からは誰も選出されず、代表選手は0だが、それでもこの両チームには日本代表選手に優るとも劣らない選手が大勢いる。今回、両チームが高質で素晴らしい試合を繰り広げ、それによってアギーレ監督の目をこちらに向けさせ、「今度は、柏と甲府を視察に行ってみよう」と思わせるような熱戦を期待している。
以上
2014.08.29 Reported by 鈴木潤
J’s GOALニュース
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