J1残留への希望を繋いでいくために必要なものを、徳島は自らの戦いの中ではっきり示したと言えよう。前節・新潟戦で見せた、高い位置からのアグレッシブな守備──。目指す生き残りに向けて1つでも多い勝点を手に入れるには、残り13戦いずれの試合でもその守りを強く体現することがチームには求められる。
実際改めて前節を振り返ると、それを実践できていた前半の徳島は新潟にほとんど良さを出させなかった。僅かな綻びから1失点は喫したものの、全体とすれば危険の芽を高い位置で潰していったことにより非常にいいゲーム運びが実現できていたと評価できるだろう。さらに、そうしたプラスの流れはゴール奪取にも結び付いた。選手たちの前へ出る姿勢が攻撃にも好影響をもたらしたのは間違いない。
逆に前から追えなくなっていった後半は一転、押し込まれる場面が一気に増加。そうなるとブロックが自陣深くへ後退する悪い癖も見え始め、チームは前半と全く異なる厳しい戦況を強いられてしまったのである。
このような直近の事実が物語るように、やはり高い位置からのアグレッシブな守備が徳島に不可欠であるのは明らか。そして迎える今節については、最終ラインからのビルドアップ力に長けた広島が相手であるため、よりいっそうその徹底度が問われることになろう。
ただ90分ずっと前からの激しいプレスをかけ続けるのはスタミナ的にもちろん無理というもの。それだけに徳島には、積極性と同時に、行くのか行かないのかを組織として見極め共有する冷静さも求められる。そう考えると、キーマンはやはり最終ライン中央の福元洋平。彼が強気にブロックを高く設定しながら、プレスのオンオフを的確にリードできたなら、チームはきっと欲する結果に向かう戦いを見せられるに違いない。
対し広島は、自らの強みのひとつである質の高い連動とパスワークで徳島の圧力をかわして仕留めたいはず。だが、スコアレスドローで終わった前節の試合後に水本裕貴も「相手のプレスに対して、早くボールを動かして、パスコースを作ることが後半は全然できませんでした」と語っていたように、広島は現状その部分にやや狂いが生じている様子。27日に行われた水戸との天皇杯3回戦ではメンバー変更などもあって幾らか改善されたようだが、それでもこの一戦では引き続き本来の姿を取り戻せるかが大きなカギと思われる。
J1残留のため、また未だ果たせていない今季ホーム初白星のためにも負けられない徳島。巻き返しによる浮上に加え、勝つことで地元へ少しでも明るい光を届けたい広島。果たして、30日の夜、鳴門の地で勝利の女神を振り向かせるのはどちらか!?激闘必至のこのゲームから目が離せない。
最後にだが、このたび広島で発生してしまった大規模土砂災害には、徳島でも選手、スタッフ、関係者、本当に誰もが心を痛めている。特に広島の地で長く暮らした大崎淳矢は「このたびの土砂災害により被害に遭われた皆様に心よりお見舞い申し上げます。第二の故郷と思っているので人事とは思えませんし、本当に心配しています」と言葉を絞り出し、「今も広島が大好きなので、成長した姿を少しでも見てもらいたい」と静かに続けた。
そのような全員の気持ちから徳島はクラブとして今節スタジアムでの義援金募金受付実施を決めた。来場される方々にはぜひご支援ご協力をお願いしたい。
以上
2014.08.29 Reported by 松下英樹
J’s GOALニュース
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