自信は“勝利”からこそ得られる。
天皇杯3回戦で、吉田恵監督が初勝利をあげた。その余韻を買って、第21節大宮戦で、リーグ戦初勝利をあげた。カップ戦であろうが、リーグ戦であろうが、今の鳥栖に一番必要なものは“勝利”であることは間違いない。突然の監督就任からリーグ戦2連敗を喫し、このままズルズルと順位を下げるのではないかと不安を感じたファン・サポーターも多かったに違いない。
首位で引き継いだバトンは、誰が感じるよりも重いものだったに違いない。それでも、吉田監督はコーチ時代から見続けてきた選手の特性を生かしてチームを成長させようとしている。そんな中でつかんだ勝利。尹晶煥前監督とは違う選手起用や戦術からつかんだ勝利は、これからの試合での“自信”につながるはずだ。その検証を、第22節清水戦で見てみたい。
今節の相手、清水は現在13位。リーグ戦中位に位置するようなチームではない。個々の能力は高く、多彩な攻撃を仕掛けてくるチームの印象が強い。高さのあるFW、個人で突破できるFW、どこからでもゴールを狙えるシュート力を持つFW・・・。その前線を操りながら自らもゴールを狙うMF。セットプレーでは無類の強さを見せるDF。
好守の歯車がかみ合えばリーグ一面白いサッカーを見せることができる選手たちが揃っている。勝利の時は相手を無失点に抑え、複数得点をあげることができる力を持っている。しかし、一瞬の隙を突かれて失点してしまうと、攻守のバランスが崩れそこを取り返すことができないでいる。
こんな状況の清水をGK林彰洋(鳥栖)は、「攻撃は多彩で、つかみどころがない。試合をこなすたびに良くなっているようで、あとは結果が突いて来れば脅威」と表現してくれた。
前所属先である清水をリスペクトしつつも冷静に分析してくれた守護神。彼の言葉から感じるのは、今の清水には“勝利”から生まれる自信が足りないのではないだろうか。
前回の対戦(第11節アイスタ)では、鳥栖のプレスをまともに受けてしまい前半終了間際に失点し、そのまま敗れてしまった。鳥栖のゴールまで迫るシーンもあったが、GK林彰洋に落ち着いて処理され得点をあげることができなかった。同じ相手に連敗は許されないのがサッカー。
しかも、リーグ戦2連敗中とあって何よりも欲しいのが“勝利”であることは間違いない。折り返したリーグ戦で上位に食い込むためにも、アウェイ戦とはいえ“勝利”をあげないといけない状況なのである。
受けて立つ鳥栖も、その“勝利”を何としてもあげないといけない。前節は勝利したと言っても、吉田監督はファン・サポーターが多く駆けつけるホームスタジアムでリーグ戦勝利はあげていない。特に今節は、スポンサーとのタイアップで2万人以上でスタンドが膨れ上がることは間違いない。多くの声援を受けて早々に試合を決めて“勝利”の歓喜をスタンドとともに味わいたいと誰もが思う。そのためにも、吉田監督の手腕に期待したい。
吉田監督は采配初戦となった広島戦(第19節Eスタ)でこそ「選手交代で遅れをとった」と責任を口にしたが、その後の戦いでは、3ボランチにして起点を増やす(第20節F東京ベアスタ)ことや両サイドDFを入れ替えて(第21節大宮NACK)ストロングポイントを活性化したりと、積極的な采配を見せている。状況によってのシステム変更も、相手チームにとっては想定外のことで攻めづらいし守り難い事だろう。これも、それも全ては“勝利”から生まれた自信ではないだろうか。
自信は“勝利”からこそ得られる。上位争いに食い込みたい清水とこのまま上位に居続けたい鳥栖。“勝利”を目指すことは同じでも、勝者には片方しかなれない。今節も、熱い戦いが繰り広げられそうだ。
敗戦から学び、勝利で自信を得る。選手たちは、漠然とボールを追っているわけではなく、“勝利”するために全力でプレーする。ボールを蹴るシーンだけでなく、ボールと反対の場所でも選手は戦っている。ピッチの中で激しく繰り広げられているプレーの数だけドラマが存在する。そのドラマの証人になるためにスタンドから声援を送ることが許されているのがファンやサポーター。観る人のサッカー観でドラマの筋書きが変わるのもサッカーなのである。
以上
2014.08.29 Reported by サカクラゲン
J’s GOALニュース
一覧へ【J1:第22節 鳥栖 vs 清水】プレビュー:勢いが戻りつつある鳥栖。吉田(監督)イズムが浸透し、上位争いの主役に。多彩な攻撃力を持つ清水。ホーム戦の屈辱をアウェイ戦で晴らし上位進出へ。(14.08.30)
- 2024 明治安田Jリーグ終盤戦特集
- アウォーズ2024
- 2024J1昇格プレーオフ
- bluelock2024
- 2024 明治安田Jリーグ フライデーナイトJリーグ
- 2024JリーグYBCルヴァンカップ
- Jリーグ×小野伸二 スマイルフットボールツアーfor a Sustainable Future supported by 明治安田
- AFCチャンピオンズリーグエリート2024/25
- AFCチャンピオンズリーグ2 2024/25
- はじめてのJリーグ
- FIFAワールドカップ26 アジア最終予選 特集ページ
- 2024天皇杯
- 明治安田Jリーグ 月間表彰
- 2024Jユースカップ
- シャレン Jリーグ社会連携
- Jリーグ気候アクション
- Jリーグ公式試合での写真・動画のSNS投稿ガイドライン
- J.LEAGUE CORPORATE SITE
テレビ放送
一覧へ明治安田J1リーグ 第37節
2024年11月30日(土)14:00 Kick off