リーグ戦10試合勝ちなし、トンネルを抜け出せないＣ大阪。J1残留争いの渦中にいるなか、そこから這い上がるために、きっかけが欲しいところ。一方、悲願のタイトルを目指すなかで、7月以降は一時失速気味も、ここに来て持ち直しつつある、神戸。上位に突き進むためには、前節に続く連勝が不可欠だ。どちらも勝利が欲しい、関西ダービー。熾烈を極めることは必至だ。

そのなかで注目は、28日に発表された、ハビエル アギーレ監督初陣となる、キリンチャレンジカップ2014のウルグアイ戦、ベネズエラ戦へ向けた日本代表（SAMURAI BLUE）メンバー23人に選出された、Ｃ大阪MF扇原貴宏、神戸MF森岡亮太という、両クラブの司令塔。パスセンスに長けた2人の活躍は、攻撃的なタレントを並べる両者の勝敗に直結することは明白であり、彼らのプレーから目を離すわけにはいかない。

「自分たちの仲間として、彼（森岡）のような選手が選ばれるのはすごくうれしい。ここまで彼が続けてきたことが証明された。若くて才能のある選手であり、彼の努力が報われたと思う」と森岡の代表初選出を讃えるのは、神戸MFシンプリシオ。彼はまた、昨シーズンまでＣ大阪でプレーしていたこともあり、扇原のよさも理解している。「彼（扇原）はロングレンジでのボールを出せるし、チームの攻撃を組み立てられて、シュートも打てる。何よりも、フィジカル的な強さがある。そこは（対戦相手として）気をつけないといけない」。シンプリシオもそうだが、彼ら2人は、攻撃を仕掛けるスイッチ役の側面を持つ選手たち。森岡の右足、扇原の左足のどちらが輝くかは、試合の行方を左右するだろう。

その司令塔の先には、前線に強力なタレントがそれぞれ待っている。Ｃ大阪にはフォルラン、カカウという、ワールドクラスのストライカーが、神戸にはマルキーニョス、ペドロ ジュニオールという、現在得点ランキングでも上位に立つ、日本での実績十分なアタッカーが、それぞれ在籍。前回の対戦でも、フォルランが2得点をあげれば、マルキーニョスとペドロ ジュニオールも得点を決め、2-2の引き分けとなっている両者の対戦。今回の対戦を迎えるにあたり、フォルランは前々節の川崎Ｆ戦にて9試合ぶりの得点を記録し、調子が上向き。今夏加入したカカウも、前節にＣ大阪デビューし、フォルランとの連係などで存在感を発揮。対する神戸のペドロ ジュニオールも、前節に5試合ぶりのゴールを決めて勝利に貢献。マルキーニョスも、得点から遠ざかっているものの、前節後半の動きは、復調の気配を感じさせた。前線の「助っ人」が躍動したほうが、この一戦での白星に近づくだろう。「今年、チームとしても調子のいい彼らを止めるために、頑張りたいし、そこで、逆に我々の持っているよさを、彼らに対してぶつけていきたい」と、Ｃ大阪のカカウ。ホーム初陣の今回は気合いがみなぎっている。

また、神戸の枝村匠馬、シンプリシオは、昨シーズンまでＣ大阪でプレーしていた選手たち。「Ｃ大阪は、自分自身が日本に来るきっかけを与えてくれたクラブ。当然特別な想いがある。最初の対戦でも試合に出られなかったが、今度の試合は必ず出ます！素晴らしい試合にしたいし、いろんな驚きの詰まった試合ができるのではないかなと思います」というシンプリシオ。彼らの古巣対決も楽しみなところだ。

「サポーターにとってはもちろん、緊張感もあり、アグレッシブさもいつもにも増して、そのなかでいい試合ができると思う」と、Ｃ大阪のマルコ ペッツァイオリ監督もいう、関西ダービー。「ホームでのプレーは利点。いつも背中にはたくさんのサポーターがいて、90分間ずっと我々のことを応援してくれている。そのなかで、もちろん最後はいい結果を勝ち取りたい」というＣ大阪が、トンネルから抜け出すのか。それとも、「同じ関西圏のチームなので、選手だけでなく、サポーターも含めて、クラブ全体で、いろんな意味でライバル関係が強い。そういうところにはきちんと勝ちたい。あまり順位とかは関係ない。この試合もほかの1試合と同じように、とにかく勝点3を取りたい」と安達亮監督もいう神戸が、長居をクリムゾンレッドに染め上げるのか。様々な面での争いが楽しみなＣ大阪と神戸の一戦。夏休み最後の大一番となることは間違いないだろう。

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2014.08.29 Reported by 前田敏勝