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【J2:第28節 湘南 vs 磐田】レポート:遠かった次の1点。湘南対磐田の上位決戦はドロー決着。(14.08.25)

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ある種、虚をつかれたような展開だった。試合前より伝えられていたとおり、3−4−2−1のフォーメーションで臨んだ磐田は、重心を低く保ち、長くを5バックの形で湘南の攻撃を受け止めた。「攻撃に転じるときに少し遅れてしまったり、自陣から抜け出すことができなかった」引いて守ったように見えた理由をシャムスカ監督はこう語ったが、互いに特長を出し合った前回対戦を思っても、この日は極めて慎重な入り方だった。

対して湘南はポゼッションを強め、攻め立てた。攻守に積極的な姿勢は常と変わらない。取られてもすぐに取り返し、切り替えの速さが波状攻撃を呼んだ。亀川諒史が仕掛け、岡田翔平や菊池大介が裏を狙うなど印象的なシーンもつくった。だが反面、シュートは前半2本にとどまっており、攻勢をいかにゴールに結ぶかが残り45分に託された。

0−0のまま迎えた後半、ゲームの様相とは裏腹に、先にスコアを動かしたのは磐田だった。47分、フェルジナンドが自陣で奪ったところからカウンターに転じ、後半開始から入ったチンガがドリブルで持ち込む。DF丸山祐市もしっかりと対応し、シュートも阻んだが、ボールはコースを変え、GK秋元陽太の反応も届かずにゴールへと吸い込まれた。

先制しながらも追いつかれ、逆転負けを喫した週中の天皇杯3回戦・大宮戦を思う。「0−1になっても足を止めずに前に出る姿勢を失わなかったし、ラインもズルズル下がらなかった。2点目3点目を取りに行こうという姿勢もあった。それは大宮戦から学んだこと」曹貴裁監督が語ったように、湘南はビハインドを負ってより攻勢を強めていく。シュートを重ね、際どいシーンをつくり出した。そして60分、粘って繋いだパスワークの先で、ウェリントンがペナルティエリアの外から振り向きざま、強烈なミドルを射抜く。

その後もピッチの様相は変わらない。シュートの意識を取り戻した湘南は、途中出場の藤田征也がチャンスに絡み、また大竹洋平の投入とともに4バックにシフトするなどしてゴールを目指す。対する磐田は相手の攻撃を受け止め、ときにセットプレーからチャンスを窺った。スコアはいずれにも動かず、勝負は1−1で決着した。

前半をスコアレスで終え、後半早々に得点したところまでは磐田のプラン通りだったのかもしれない。結果として追いつかれたが、首位チームを相手にアウェイで勝点1を手にしたという事実も前向きに捉えうることなのだろう。今季の湘南との対戦はこれで終わったが、結果をも超越する両者の戦いをまた期待したい。

対して湘南は、間違いなく主導権を握り、らしく果敢に攻め込んでもいた。それだけに勝ちたいゲームだったが、ゴールに至る難しさをあらためて感じさせられた戦いでもあった。「2点目3点目を取ることは我々の永遠の課題であり、目指すべきもの。その課題に向き合ってやっていた選手たちのパフォーマンスには何も言うことはない。もっと自信を持って打たせてあげられるような場面をつくっていかなければいけないと自省しています」曹監督は語った。次の1点を奪うための研鑽はこれからも変わらず続く。落ち葉が大地の肥やしとなるように、この日味わった生みの苦しみや悔しさはきっと、彼らの幹を太くするに違いない。

以上

2014.08.25 Reported by 隈元大吾
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