「イケイケのゲームにしたいです。負けた後は慎重に、ってなりがちですけど、こういう時だからこそ捨て身で、もうどうなるかっていう試合をするのが俺はいいと思う」。千葉戦に向けて、こう話すのは田所諒。岡山は前節の北九州戦で、実に19試合ぶりの敗戦を味わった。岡山の無敗が続く前、最後に敗れた相手が北九州(第8節)で、相手の戦い方は重々知りながら、コントロールできないゲームとなった。それでも一度は島田譲のゴールで追いつき、しかし63分に追加点を許し、1−2という結末に終わった一戦を経て、今週は夏の蓄積された疲労とも戦いながら、堅い守備をもう一度取り戻すためのトレーニングを重点的に行なった。
迎える千葉は、リーグ戦前半は中位に甘んじていたが、7月に関塚隆監督が就任して以来、2勝4分と負けがなく、5位・岡山との勝点差が「4」の6位に順位を上げている。またリーグ戦から中2日で、20日に行われた天皇杯3回戦では柏と対戦し、延長戦を戦った末、2巡して26人にまで及んだPK戦でゲームを制した。この時の千葉は、森本貴幸、山中亮輔と、フル出場した最終ラインのキム ヒョヌン、大岩一貴以外は、出場機会の少なかった選手をスタメンに起用。デビュー戦となったこのゲームで初ゴールを決めた18歳のオナイウ阿道、町田也真人、井出遥也が途中交代で入り、躍動した。
千葉はケンペスを筆頭に、注意が必要な選手が勢揃いしている。ケンペスは昨年のJ2得点王で、現在も10得点と好調を維持。また8月11日にはF東京から幸野志有人が加入し、前節・熊本戦にトップ下で途中出場し、決定機を演出した。【4-4-2】と【4-2-3-1】のフォーメーションを時間帯等によって使い分けているが、ケンペス、森本貴幸の2トップに、兵働昭弘、谷澤達也、そして、第2節の岡山戦でプロ初ゴールを決めた山中亮輔ら2列目が絡んで行く。また、中村太亮と大岩一貴の両サイドバックの上がりと精度の高いクロスボールも強みで、ケンペスを自由にしないことと同時に、そこに供給されるボールへのケアが必要となってくる。
関塚監督のもとで、守備への切り替えの速さと、攻撃時の縦の速さが増した千葉。ポゼッション率と、パス数、パス成功率が1位で、クロスの成功率も高い。岡山・影山雅永監督は、「ボールを握られる可能性は高いが、食い止めなければいけない。天皇杯ではレイソルとの死闘をものにしたし、順位も近いところにいて、そういう意味では、勢いに乗ってくると思う。でも、僕らもパワーの出しどころは、ここから」と話す。「山口智選手を筆頭に守備は堅いだろうから、そのぶん、岡山も前線ががんがん行けるように」と話すのは岡山のボランチ・千明聖典。
岡山の引き分け数は「11」でリーグ2位タイの多さだが、千葉もリーグ後半戦に入ってからの2勝4分という成績は、勝ちきれていない思いが強くあるはずだ。久木田紳吾は「負けないことはいいこと。でも2つ引き分けるのではなくて、1勝1敗で勝点を積み重ねてもいい」と話す。堅い守備をベースに、厚みのある攻撃を仕掛けたい両チーム。スピーディで見どころの詰まった一戦になることは間違いない。
以上
2014.08.23 Reported by 尾原千明
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