8月20日の天皇杯3回戦(関西学院大戦)の勝利は7月12日の天皇杯2回戦以来の公式戦の勝利の味。関学大戦では休ませたかった主力のベテラン選手を3人(山本英臣、石原克哉、盛田剛平)も投入することになったが、もし敗れていたならG大阪戦はメンタルを含めたコンディション面で大きく不利になっていたはず。しかし、負けパターンにハマりながらも最後は2分間で2ゴールを挙げて逆転勝ちを果たした。今節は、この勝利の味を活力に変えてG大阪を迎え撃ちたい。バスで6時間かけて甲府にやってくるG大阪よりも移動なしでホームで今節を迎えることができる点は甲府が有利だが、その移動でG大阪の戦力がダウンするわけがない。
J1の長い中断期間明けのリーグ戦再開試合(第15節、7月19日)で対戦した甲府とG大阪(@万博)。対戦前の順位は甲府が14位で勝点1差でG大阪が16位だった。結果は2−0でG大阪の勝利。シュート10本でゴールがゼロの甲府に対して、シュート3本でゴールが2のG大阪が決定力の高さを見せつけた。で、G大阪はその試合から5連勝を果たして(前節は名古屋に敗れたが)現在7位で、ACL出場権を争うことが夢ではなく、現実的な目標になる立場。甲府には関係ないが、関西の盟主の座を奪い返す勢い。迎え撃つ甲府は再開後は4分2敗で15位。勝点は10ポイント差に開いてしまっている。G大阪は残留争いの心強い仲間だったのに、今は遠くに行ってしまい、背中の「ROHTO」の文字を判別できないほど。その理由の一つは、視力が落ちたのではなく、中断期間の補強の差。昨年甲府でプレーしていたパトリックを補強したG大阪は、彼を獲得したことで本来チームが持っていたポゼッションの上手さを活かすことができているし、パトリックにパスを合わせる質がG大阪にはあったからではないだろうか。大宮が中断期間中に獲得したムルジャと同じく、パトリックは6試合で4ゴールと再開後の短期間で圧倒的な結果を残している。G大阪はここから連勝を再開してACL出場権争いのど真ん中に入り、優勝争いにも手が届く立場を手にしたいところだ。
甲府は阿部拓馬を獲得したものの、残念ながらケガで現在はリハビリ中。昨年湘南で活躍したキリノ(現在は練習生)を東ティモール国籍(彼のルーツが東ティモール民主共和国にあるため)のアジア枠で獲得する予定であるが、手続きが終わってもコンディションの問題があってすぐに実戦投入できそうにはない。とってもとっても不安。この辺り、クラブの腕力の差も出ている。欲しい選手を狙って獲得できるクラブと、可能性のある選手を獲得して戦力化するしかないクラブの差。しかし、泣き言をいっているのではない。そういう現状でも甲府はG大阪に勝とうとしているというアピール。じゃあどうすれば勝てるのか。簡単に分かるのなら苦労しないので、頑張るだけ。じゃあ、どう頑張るのか。簡単に分かるのなら苦労しないので、もっと頑張るだけ…。
今節の甲府はこれまでの3−4−2−1で行くかもしれないし、スタートポジションを変えて挑むかもしれない。前日練習では記者を惑わすようなスタートポジションや順番の入れ替えもあったので、いつものようには予想できないが、JFK甲府になってから何度かおこなってきたマイナーチェンジによる最大値の模索が見られるかもしれない。多くの試合で相手よりも多くのシュートを打ちながらも勝点3をなかなか奪えず、決定力の低さが目立つ課題になっていた甲府。天皇杯3回戦でも見せたが、スタートポジションと人を変えて、より高い確率でゴールに繋がりそうな決定機を作る模索の先に、ゴールという明りが見えそうな雰囲気はある。5バックで守備の堅さは概ね発揮できているが、前の人数を増やすことが課題解決のヒント。そこでやりきれるかどうかは山梨中銀スタジアムで声援を送りながら目撃してほしい。
今年のJ1リーグで予算規模が一番小さい甲府だが、下に3チーム(C大阪、大宮、徳島)もいる15位と、負けずに粘って戦っている。甲府のファン・サポーターがその現実を理解した上で、スタジアムで温かい声援で後押ししてくれれば、水曜日に味わった勝利の味を土曜日にも一緒に味わうことができるはずだ。もし甲府の選手のシュートが外れても、「あ〜あ」ではなく、「オウッ」という、ヨーロピアン的な感じの反応で、ネガティブな音や声はできるだけ減らしたい。パスミスでも同じ。ピッチの選手に成長や結果を求めるのなら、共に闘うスタンドもよりポジティブに変化し、共に勝点3を掴み取りたい。
以上
2014.08.22 Reported by 松尾潤
J’s GOALニュース
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