ニッパツ三ツ沢球技場で行われることもあり、当日券分も含めてチケットはソールドアウト。注目度の高さがうかがい知れる。
「同じ神奈川のチームとの対戦だし、いつものリーグ戦以上に負けたくない試合だ」(小椋祥平)。
横浜FMの選手たちも、隣町のライバルに強い対抗意識を燃やしている。天皇杯3回戦を挟んだ盛夏の3連戦のラスト。しかも、中2日でのゲームではあるが、応援合戦も含めヒートアップ必至の一戦になるだろう。
ただし、チーム全体のコンディションは若干、川崎Fが有利か。川崎Fは20日(水)の天皇杯でリーグ戦前節・C大阪戦のメンバー11人を総入れ替え。片や横浜FMは中村俊輔、中澤佑ニの好守の御大をはじめ、前節・徳島戦から8人をチェンジしたが、齋藤学、下平匠、栗原勇蔵の3人は延長戦を含めてフル出場。お互い天皇杯3回戦で姿を消したわけだが、120分間の消耗戦の末の敗退ということで、横浜FMの方が心身ともにより疲弊していてもおかしくない。
だが、横浜FMはそんな言い訳を言える状況ではない。現在11位とACLへの切符を掴むためには道のりはまだまだ険しい。「自分たちが上に行くためには、上位チームから勝点3を奪うしかない。実にシンプルなこと」(小林祐三)を、地道に続けていくしかないのである。よって、現在2位と好調な相手に対し、どんな施策を立てるかが見ものだ。
川崎Fは18節の柏戦で1−4の完敗後、19節の大一番、浦和戦から急造で3バックに変更し、2連勝中。ただ、3−4−3の新フォーメーションは「諸刃の剣」のようにも見える。前節、C大阪戦は5−4で乱打戦を制した。5点を奪う爆発力はハンパないが、4失点から目を背けるわけにはいかないはず。ただし、そんな疑念に対し、風間八宏監督はその日の会見で「(記者の)皆さんは『3バックが』とよく言いますが、我々ははじめ3トップという考え方をしてやっている」と口にした。つまり、あくまでも「守」より「攻」を重んじ、より破壊力を上げるために2トップから3トップに変更したという見方が正しいわけだ。「攻撃は最大の防御」を地で行く、J1随一のスペクタクルなサッカーで、堅守がアイコンの横浜FMさえも飲み込むことができるだろうか。
ただし、横浜FMにも一撃必中のブラジル人スナイパーが、今夏より加わっている。ラフィーニャだ。前々節・柏戦での移籍後初先発から2戦3発をマーク。日本人にはない初速からトップスピードに乗れる爆発力があり、中町公祐らの縦パスを引き出せる。技術とシュートへの意識も高く、前を向いて勝負できるFWは、上位浮上への旗手と言える。
川崎Fもこの“危険な男”を肌身に感じて知っている。ラフィーニャの前所属チーム、蔚山現代時代に今季ACLで2度対戦。ホームでは3−1で勝ったが、反攻の1点をラフィーニャに決められた。だから、ひょっとすると脅威を感じ、戦い慣れた4バックに戻す可能性もゼロではなさそう。
前回の対戦は3−0で横浜FMが快勝した。とはいえ、あの時の川崎FはACLでラウンド16まで進出し、連戦に次ぐ連戦で言わばガス欠状態だった。横浜FMの選手たちも、それは承知済み。今回迎えた、ある意味“真の神奈川ダービー”のキックオフを、今や遅しと待ち焦がれる。
以上
2014.08.22 Reported by 小林智明(インサイド)
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