熊本が8月20日にトレーニングを行った七城町運動公園は、コンパクトなサッカー専用グラウンド。コンパクトな分、ピッチの周りにはあまりスペースの余裕はなく、スタンドはメインのみ。逆のタッチライン側は芝生席があるが奥行きもなく、その奥には川が流れていて、飛んでいったボールの回収が以前からスタッフ陣の悩みの種だった。最近は主務の川崎さんが長い柄のついた網を使うようになって、少しは楽になったように感じられる(それでも大変なのですが)。
ただ、ゴール裏にはスタンドも芝生席もなく、普段トレーニングを行っている県民総合運動公園に設置されたようなネットもない。選手たちが放ったシュートが枠を外れれば、ボールはピッチを大きく飛び出し、隣接するゲートボール場のほうへ転がっていく。
当然、シュートはゴールの枠に入るほうがいいのだが、この日はシュートが外れるのを、と言うより、ボールが飛んでくるのを喜んで待っている人が1人だけ、いた。熊本市内の小学校に通う、2年生の大翔(ひろと)くんだ。
枠を外れてボールが飛んでくるや、急いで追いかけて拾ってきては、パントキックやスローインでGKに返す、という迅速かつ完璧なサポートぶりを見せる大翔くん。ホームゲームでは、スタジアムDJのKOVA(小林弘記)さんが「皆さん、観戦じゃありません、参戦してください!」と観客に向かって呼びかけているが、豊富な運動量での貢献度を見れば、彼はまさしくチームの練習に「一緒に参加している」と言っていい。
今は夏休みとあって、おばあちゃんに連れてきてもらい「練習参加皆勤」を目指している彼にとって、ネットがない七城町運動公園のサッカー場は、ボールに触れる機会が自ずと増える場所。いつもの県民総合運動公園では、グラウンド脇のスペースで黙々と「自主練」に励んでいる姿を見かけるが、今日はたくさん、選手と同じボールに触った。
大翔くんがサッカーを始めたのは幼稚園の頃。それまでは「ソフトバンクが好きだった」らしいが(笑)、サッカーを始めてからロアッソ熊本が応援の対象に。よく声をかけてくれる仲間隼斗選手や橋本拳人選手が好きだそうだが、最近は学校でもGKをやるようになり、新加入の永井建成選手が気になっている。そんな大翔くんのキーパーグローブを見せてもらうと、指の部分には穴が空き、手袋を二重にしてある。先日は、これを見かねた金井大樹選手がグローブをプレゼントしてくれたそうだが、練習を見に、いや、参加する時は自分のグローブを使う。昨季まで在籍していた南雄太選手(横浜FC)にもらったグローブを、トレーニングの合い間になくしてしまったことがあったから、かもしれない。
そんな大翔くんの目標は、もちろん、「サッカー選手になること」。しかも「日本一の」だ。
その時を取材できるよう、おじちゃんも頑張るからね。
以上
2014.08.21 Reported by 井芹貴志
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「はやくボール飛んで来ないかなー。あっ、でもシュートは外すなよ!」(セリフは担当記者の想像です。以下同)
「まだ飛んで来ないなー」
「パブロ!早くケガ治して復帰してよ!」
「きたっ!まずはスローで返すぞ」
「パントキックもできるんだよ」
大翔くんのキーパーグローブ。右手の指2本にはもう穴が
日本一のサッカー選手を目指す大翔くん。がんばってね
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