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【第94回天皇杯 3回戦 ソニー vs 山形】レポート:萬代のCKからのゴールで山形が辛勝。ソニー仙台はボールを支配する時間をつくりながらゴールが奪えず3回戦で敗退。(14.08.21)

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日中の熱気と湿度がたっぷり残るスタジアムが、16年ぶりに実現したダービーマッチの舞台となった。

8月8・9日の東北総体を経たソニー仙台は、8月3日の直近のリーグ戦から3人が入れ替わった。対する山形は3日前の札幌戦から引き続き先発でプレーするのはGK山岸範宏ただ一人。フィールドプレーヤー10人はそっくり別の選手に置き換わっていた。ボランチには、山形加入3年目で山形の選手としては初めて公式戦のピッチに立つ日高慶太もいた。とは言え、前線の4人とセンターバック2人、そしてボランチの舩津徹也は今シーズン、レギュラーで出場した実績があり、右サイドバックの小林亮も長期離脱から復帰し、7月の天皇杯2回戦、さらに8月のリーグ戦2試合で先発を務めている。

“オール・サブメンバー”とは言え、それぞれ実績もあり、重ねてきた紅白戦や練習試合で互いのプレーを理解し合っている山形は積極的な攻撃姿勢を見せる。決して悪くない立ち上がりだったが、しかしそれを上回ったのはソニー仙台の守備の組織だった。5分、キム ボムヨンが斜めのランニングで裏を狙う比嘉厚平に向けて長めのスルーパスを送ったシーンでは、布施有太がキムにしっかりアプローチしてコースを限定。その間に3バックも横の距離を狭めて山田佑介がボールをカット。そして走り込んだ比嘉にも不老祐介がピッタリ並走していた。8分、日高からのくさびを萬代宏樹がダイレクトで落とし左へ展開、キムからペナルティーエリア奥へスルーパスが送られた場面でも、早いタイミングで3人目の動き出しを開始していた舩津に細見諒が遅れずに付き、舩津の足元からボールを奪っている。山形からすれば、中盤でパスを回すそれなりのスペースは与えられていたが、それと引き換えにアタッキングサードでは自由なプレーが許されず、シュートチャンスをつくるまでには至らなかった。

10分ほどすると、山形の圧力に慣れてきたソニー仙台も、2回戦で鹿島から2点を先制した攻撃の特徴を発揮し始める。12分、GK金子進からのパントキックを1トップ・内野裕太がフリック。相手とうまく入れ替わり裏を突いた中村元がペナルティーエリアの角よりも外側から、この試合両チーム通じて初のシュートを放つ。その1分後、フリーキックから内野がヘディングで合わせ、15分には荻原健太の縦のフィードを中村がマイナスに折り返し、田中豪紀がニアで潰れた先で内野が右足を振り抜いた。ここは山岸の好セーブに阻まれたが、徐々にパスミスが多くなり始めた山形に対し、ソニー仙台は意図してボールを動かせる時間が増えていく。山形陣内でボールが回るシーンも多く見られるようになり、守備で後手を踏む山形のファウルも比例して増えていった。細見が振り返る。「試合をしているうちに、思っていたよりもできるかな、と感じたので、後ろにへばりつかなくてもボールを回せましたし、サイドを使ってチャンスはつくれたので、前半が始まってすぐくらいに、『どんどん前に行こう』と頭の中では切り替えました」。そこに、J2とJFLのカテゴリー差を感じさせるものはほとんどなかった。

接触プレーで左足首を痛め試合続行が難しくなった伊東俊に代わり、22分に川西翔太がピッチに入る。山形にとっては早い時間帯に交代枠を一つ使うことも含めてアクシデントと呼べる状況だった。しかし、川西のグリップ感のあるプレーは攻撃のスピード感を若干落とすものの簡単に失う回数が減り、むしろプラスの効果が生まれていた。そして迎えた29分のコーナーキック、日高が送ったボールを萬代がヘディングで仕留めて山形が先制する。「守備でも攻撃でもセットプレーの1本目を大事にしようと言っていた」と萬代。駆け引きでマークとの距離をつくれたことで、高さの優位性を最大限に生かすことができた。バックステップからやや距離のあるヘディングにはなったが、ニアポスト際までカバーリングに戻っていた瀬田貴仁のジャンプも届かないコースに、狙いすましたシュートが決まった。

後半に入り、51分、1点を追うソニー仙台は右サイドで起点をつくった中村を布施が外から追い越していく。しかし中村はニアで待つ細見にパスを送る。一気に下がったラインの手前からミドルシュートを打ち込み、枠には飛んだがここは山岸が難なくキャッチした。ハーフタイム、ソニー仙台・石川雅人監督は「サイドの深いところまで行って仕掛けからクロスを上げよう」と選手たちに伝えているが、ボールをつなぐシーンはいくつかあったが、敵陣深く攻め入る機会は少なく、この51分のシーンを最後にしばらくシュートチャンスから遠ざかる。70分には荻原から左サイドの不老へ大きくサイドを変えるボールが送られたが、ここは山形の小林亮に対応された。

一方、「センターフォワードの選手が斜めに流れ込んでくるところで長いボールが来て、ボールをキープされてしまうシーンがあまりにも多すぎた」という山形・石崎信弘監督はハーフタイムに「しっかり相手の縦を切ってスピードに乗らせないようにしよう」と守備の修正を指示。これにより守備がより落ち着いたことで、攻撃面にも好影響が生じていた。動きが目立ったのは比嘉厚平。56分には瀬田から山田へ送られたパスをカットしてクロスを送り、57分にはくさびの萬代の落としからミドルシュート。74分にも相手のコントロールミスを見逃さずに奪って前方へ持ち運び、スルーパスで川西がフリーで打てる決定的な状況をつくっている。サイドの小林も高い位置にたびたび顔を出し、フリーでクロスを上げるシーンを増やすなど、山形は主導権を握ってプレーを続けた。ただし、79分の小林のクロスで萬代のヘディングがわずかに外れるなど、決定的な場面をつくりながら追加点を奪うことができなかった。

試合は1-0のまま試合終了。選手交代で終盤に盛り返したソニー仙台は追いつくことができなかったが、山形に追加点を奪われることもなかった。「いいかたちで進めることができていたのに、最初に与えたセットプレーのチャンスで決められてしまったのが悔しい」。そう話した瀬田は「でもそのあとも気持ちを切らさずにゲームを進めることができたので、手ごたえと、押していただけに点を取りたかった悔しさの両方があります」と試合を振り返った。山形は「ふだん、なかなかリーグ戦で出場時間が短くて悔しい思いをしている選手、出場機会がなくて悔しい思いをしている選手で結果を残せたというのは、チームにとって非常に大きなこと」と山岸。石崎監督も「今日は天皇杯というトーナメントで、リーグ戦ではないので、勝つことが一番」と次に駒を進めたことを強調したが、この日の試合のなかからどれだけの好材料をリーグ戦にフィードバックできるか、現在の主力組を突き上げることができるかと考えると、やや寂しい内容だった。ソニー仙台と山形の対戦という形で実現した「みちのくダービー」は、両チームに手ごたえと課題を残して幕を閉じた。

以上

2014.08.21 Reported by 佐藤円
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