直近のJ1リーグ戦から、ガンバ大阪は先発メンバーを７人、徳島ヴォルティスは総入れ替えでキックオフを迎えた天皇杯３回戦『Ｇ大阪vs徳島』戦。
前半はボールを支配したＧ大阪ペースで試合が進む。その中でいつも通りにパスを繋いで攻撃を構築するのみならず、古巣相手に今季初先発を飾ったFW佐藤晃大をターゲットにロングボールを放り込むなど、長短のパスを使い分けながらゴールを目指す。ただ、徳島の堅守もあって、FW佐藤のところで思うようにボールが収まらず、厚みのある攻撃が仕掛けられない。また久しぶりに同じピッチに立つ選手も多いからか、いつものようなパスワークも見られず、ペナルティエリアに切れ込んでいけるような好機もほとんど作れない。
そうした流れを遮断するべく先制点を挙げたのは、昨年から今年にかけて徳島戦２試合で５ゴールを決めていた“徳島キラー”のFW宇佐美貴史だった。28分、MF遠藤保仁、MF二川孝広と繋いだパスをゴール前中央、やや遠目の位置で受けると、自ら細かいボールタッチでコースを作り出し、右足を豪快に振り抜いてゴールを決める。徳島にとっては、全選手を入れ替えながらも、意思疎通の感じられる攻守に安定した戦いを進めていただけに痛い先制点。それでも、その後も気持ちを切らさずに前半を１失点で留めた堅守が、後半に向けた好材料になりうる予感を漂わせながら、前半を終える。

後半、Ｇ大阪はFW宇佐美に代えてMF阿部浩之を投入。FW宇佐美のいたFWのポジションにリンスを上げ、２列目にMF阿部を据えて攻撃に変化を与える。ただフィニッシュに繋がるラストパスのところでのチグハグさや味方同士のパス交換でのミスが目立ち、シュートで終わるシーンはほとんど見られない。そのうちに、徳島のカウンター攻撃にさらされる回数が増え、徐々に徳島がペースを握り始める。
というより、60分を過ぎてからは、攻守の切り替えが遅くなってきたＧ大阪を尻目に、サイドチェンジをうまく織り交ぜながらサイド攻撃でリズムを掴んだ徳島がゲームを支配。優勢に試合を進める時間が増えるが、残念ながら、そうしてゲームのイニシアチブは握りながらも、フィニッシュに繋がるラストパスの精度を欠いたことや、２度の決定機をＧ大阪のGK東口順昭に防がれたこともあり、ゴールが奪えない。結果、FW宇佐美のゴールを守り切る形で１−０で勝利したＧ大阪が、４回戦へと駒を進めた。

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2014.08.21 Reported by 高村美砂