壮絶な打ち合いを制したC大阪戦から中3日。川崎Fの戦いはリーグ戦から一旦離れ、天皇杯へと移る。相手はJ2の愛媛。公平に戦力を見れば川崎Fの地力が上回っており、普通に戦えば負けることはないはず。ただ、サッカーはそうした常識が簡単に覆される怖さがあるのも御存知の通りだ。
思い出すのは、YS横浜と対戦した2回戦の苦戦である。1点をリードされたまま、川崎Fは敗退の瀬戸際にまで追い込まれた。しかし起死回生の小宮山尊信の同点ゴールが後半アディショナルタイムに生まれ、延長に入っての森島康仁の逆転ゴールによって勝ち上がりを決めた。きわどく勝利を手にしたあのYS横浜戦と同じ轍だけは踏みたくはないが、こればかりは試合が始まってみなければわからない。選手たちの戦いに期待するのと同時に、リーグ戦と変わらぬサポーターの声援もお願いしたいところだ。
そんな天皇杯に向けて、選手はリーグ戦とは違った意気込みを見せている。例えば實藤友紀は「天皇杯はアマチュアも出られる大会で、日本の全部のチームを合わせた大会なので、優勝できたら本当の日本一になれると思っています」と話すと「天皇杯は序盤に負けてきたイメージがあるのでそれを払拭したいですね」と力強かった。「格下とは思いませんが、情報はほぼゼロです」と率直に話すのは大島僚太。「どんな相手でもちゃんとしたクオリティのある試合で勝利したいです」と言葉を続ける。なお、U21日本代表として招集され、ともにプレーした原川力については「ものすごいキックを持っていますし、うまい選手だと思います。体も強いので気をつけないといけないですね」と話している。
大島が言及したこの原川は、愛媛ではまだ確固たるポジションを手にしたとは言いがたい状況にあるが、出場するとすれば2シャドーの一角として河原和寿とともにプレーすることになりそう。愛媛は1トップのロボが起点となってボールを収め、これを2シャドーがフォローする形で攻撃が形作られていく。また、前が詰まった場合はわりとシンプルにサイドチェンジを試みて局面を打開しようとする。そのようにピッチを広く使われることで川崎Fは選手の距離感の部分で難しさが出る事も有り得るが、落ち着いて対処できればそれほど怖い攻撃ではない。ただ、他のチームがそうであるように愛媛も高い位置でボールを奪った場合には、枚数をかけてリズムよくパスを繋ぐ攻撃を見せることもある。そうしたパスワークを出させないよう、不用意なミスは避けたい。一つ気がかりなのが、対戦チームのボールを愛媛陣内深くで奪った局面である。この場合、無理してパスをつないで再度奪われるリスクがあるため、ある程度セーフティーにボールを蹴る場面が散見される。こうなると前線に位置するロボのキープ力によって川崎Fの最終ラインが押し下げられることも考えられ、戦いは厄介な方向に進みかねない。というのも、川崎Fにとってはコンパクトさと選手間の距離とが、内容のある試合を実現するための必要条件の一つであるためだ。愛媛ペースに陥らないような試合運びをするためにも、マイボールの時間を長くしたいが、こればかりは愛媛との力の兼ね合いにもなってくるため、相手の出方を見極めつつ試合を運びたいところだ。
ちなみに愛媛対松本戦の中継中に、石丸清隆監督のコメントとして「自分たちがボールを保持している時こそ、落とし穴になる」との言葉が紹介されていた。これはボールの失い方の悪さを戒める意味で使われており、裏を返せば、愛媛の選手たちのボール保持に対する自信の無さの表れだとも言えそうである。つまり、繰り返しになるがマイボールを無理して繋がず、シンプルにクリアしてくることが許容されているものと予想する。ロングボールの対応については、リーグで対戦した浦和戦で痛い目にあっており、最終ラインに入る川崎Fの選手は途切れることのない集中が必要となりそうだ。
なお、川崎Fの先発メンバーに関してはある程度の入れ替えがあるものと推測される。この天皇杯も大事だが、同じくらいに大事なリーグ戦が、中2日で控えているということ。また現在のベンチ入りメンバーを見た際に、それまでレギュラーを張っていた主力クラスが名前を連ねており、力関係に大差はないからだ。特に守備陣に充実感が出ているだけに、思い切ったメンバー変更や、戦術が採用されたとしてもおかしくはない。全く読めない先発争いという部分にも注目したいと思う。
以上
2014.08.19 Reported by 江藤高志
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