世界のサッカーシーンを見れば、やはり欧州のトップリーグのレベルは高い。とんでもないプレーを当たり前にやってのける選手たちが毎試合共演し、ハイレベルな戦いを繰り広げている。そうした夢のようなチームがあるのは紛れもない事実だが、そうしたクラブが戦っているリーグにもJリーグ出身の日本人選手がプレーしている。そして、彼ら日本人選手たちが、日本人にあるまじきスーパープレーを連発するのかというと、そんなこともない。逆の言い方をすると、日本人のプロサッカー選手の大多数を占めるJリーグ所属選手の中にも、ヨーロッパでプレーしていておかしくはない選手が多数いるということ。
若ければ若いほど活躍の舞台をヨーロッパに求めるべきとの声には同意するが、その一方で、能力のある選手がすべて海外移籍しているかというとそうでもない。だからJリーグでプレーする選手のレベルが低いわけでもない。謙譲を美徳とする日本人は、たとえば贈り物をする際に「つまらないものですが」と一言添える文化が示す通り、自分たちの所有物や所属するコミュニティに謙遜した評価を与えるという意味で特徴的だが、それがリーグの評価にまで悪い方向で影響をあたえてしまっているように感じてしかたない。もう少し自分たちが作ってきたリーグの価値を前向きに評価してもいいように思っている。もちろん、ACLのような客観的な大会で敗れてしまっている現状がある以上、それが難しいのも理解できる。
日本人が自らを積極的に評価できないような文化的背景や客観的事実があるからこそ、アギーレ監督のような日本人のメンタリティや常識からは隔絶されてきた人物に期待するところは大きくなる。メキシコ代表を筆頭に、複数のクラブを率いてきたその経験を元に、Jリーグの再評価し、その結果として新生日本代表にJクラブ所属の選手が一人でも招集されることを期待したいと思う。
そんなわけで、アギーレ監督が視察する試合とtotoの間に相関関係が出てくると面白いのではないかと思い、先日アギーレ監督が視察した浦和対広島の一戦のデータを見なおしてみた。1−0で浦和が勝利したこの試合では、先発のピッチに立った平均年齢は浦和が29.18歳なのに対して広島が27.73歳。「若い選手が頑張るはず」との仮説を立てていたのだが、まずは粉砕された。
代表歴のありなしで検討しようかとも思ったが、労力ばかりかかる割に実効性があるデータが出るとも思えないのでこちらは断念。ありていに言えば、めんどくさかった。
そもそも代表監督視察と勝敗との間で何らかの相関関係が発生するとしてもそれは限りなくメンタル面のものでしかない。要するに目で見えない“心理”を定量的に解析しようとしてもそれはムリ。ということで、アギーレ監督の視察と勝敗に対しての相関関係は、事前に数字で示すことは不可能との結論に至る。アギーレ監督のスタジアム視察は、totoに応用できず。残念。
ただ、これから蓄積されていくデータが、何らかの相関関係を示す可能性は否定できない。まず、浦和対広島で残されたデータとしては、ホームチームの勝利。ホームチームの得点。ホームチームは無失点、というものが上げられる。ここに専用スタジアムかどうか、とか、ピッチから監督の顔がみえるかどうかだとか、来場者数とかの要素も加わってくる。まあ、これらのデータを蓄積させたところで勝敗を左右する情報にたどり着けるかどうかはわからず、更にいうと、一般のサポーターは事前に代表監督の視察会場の情報を入手できないという問題もある。
ということで、やっぱり結論としては、代表監督の視察会場と試合の勝敗は現時点では関連付けるのは難しい、ということになった。まあ、監督が来る試合会場の勝敗が分かったとしても、totoにとっては13分の1でしかないわけだけど(笑)。
以上
2014.08.19 Reported by 江藤高志(川崎F担当)