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【J2:第27節 山形 vs 札幌】レポート:2つのPKで山形が逆転!耐えて勝機を掴み、連敗脱出をめざす札幌を下す。(14.08.18)

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スコアが動いたのは、キックオフから2プレー目のリスタートから。16試合ぶりの出場となったGK李昊乗のフリーキックのセカンドボールに感度よく反応したのはロメロ フランク。足元にタックルを受けて体勢を崩しながらボールを追い、深井一希のプレスバックを右方向に感じながら体を向けたのは、左サイド外側に開こうとしていた石川竜也。しかし左足でのキックの瞬間、やはり前方へのフィードの態勢に入っていた味方の松岡亮輔と交錯する。その結果、ボールは中央ゴール方向、フリーキックに備えて右サイドに寄っていた石井秀典の左脇、中央への斜めのバックパスがズレたような形になった。石井秀も反応は遅くなかったが、初速から飛ばした内村圭宏が2歩の差を一気に縮め、さらに前へ持ち出して引き離すと、スピードに乗ったままゴール方向へシュートを流し込んだ。守備が整っていない序盤、歩を上げた隙間から不意に角が切り込むように生まれた先制点。ホームの山形は前節・富山戦で立ち上がりに先制した山形が、この試合では逆に1分で先制を追う展開になった。

札幌は前節負傷の小野伸二は大事をとって遠征に帯同せず、左サイドハーフには菊岡拓朗が入ったが、4試合ぶりの得点が開始早々に入ったことで、その後の数分は試合を制圧する。押し込んで上里一将が放ったミドルシュートには荒野拓馬がラインを飛び出して反応。その直後にも中央でボールを受けた菊岡がダイアゴナルに走り込む荒野へくさびのパスを送り、ハーフウェイラインを越えてボールを持ち出したパウロンは宮澤裕樹の動き出しに合わせて縦にフィードを送った。しかし、いきなりビハインドの状況に立たされた山形も戦意を削がれることはなかった。「いつもならそこで崩れるところを、よく盛り返して、最初は押し込まれた形だったかもしれないですけど、しっかりと耐えて、前半の途中からはある程度試合が支配できたんじゃないか」(石崎信弘監督)。

スタミナの消耗を厭わない山形のハードワークは、最初こそセカンドが拾えずカウンター気味に札幌の攻撃を受ける状況にもつながっていたが、バランスの適正値を見つけ、ボールを奪ったあとの預けどころが定まり、3手先の動きをチームで共有できるようになったことで、形勢を着実に変えていった。特に目立ったのが出場停止明け、1トップに入ったディエゴ。立ち上がりから迫力あるチェイシングを続けていたが、8分にはGK李のキックミスを誘い、34分にはプレスバックでボールを奪い、コーナーキックへとつなげている。奪われた深井は「あそこが本当に相手を勢いづかせちゃったなというのがある」と悔やんだが、札幌のスタイルであるポゼッションと、山形のスタイルであるプレッシングがせめぎ合うなか、「パスで剥がしたりいなせないなら、もっとはっきり裏に蹴って押し上げるとか、それができずに中途半端につなごうとしてまた引っかかってという繰り返しだった」(内村)と札幌は攻め手を失っていく。

それでも、「セカンドボールを拾われてる時間帯もあって、でもそこはみんなで我慢して、声をかけ合ってやってました」(石井謙伍)と札幌も耐えていたが、終盤にはついに山形が追いついた。43分、右サイドでフリーキックを得た山形は、石川の左足がファーサイドへ大きな放物線を描く。飛び出したGK李も届かなかったボールは、ゴールライン際まで懸命に追って折り返した石井のヘッドによってゴールエリア内に残された。浮き球が落ちきる前にディエゴが左足でボレーシュート、ブロックされた跳ね返りを右足で打ち返したが、その前に西村雄一主審の笛が鳴らされたのは、ブロックで至近距離に立った奈良竜樹の手にシュートが当たっていたため。山形にとっては今シーズン初めて獲得したPKだったが、ここまでシーズンを通してPK練習を積んできたディエゴにとっては一手詰めの詰将棋を解くようなもの。荒野やパウロンがちょっかいを出してくるという練習にはなかった状況にもまったく動じず、キーパーがコースを読んでいても取れないコントロールと速さで、いつもの練習どおりのシュートをゴールネットに突き刺した。

「後半は特に攻撃のところで修正できて、少し押し込むような形もできましたし、そういう意味ではうまくゲームを進められた」と財前恵一監督。宮澤をターゲットとして収めながら、ボランチの上里がフリーでボールを保持できる状況をつくり、高く押し上げたサイドへ展開した。特に左サイドバックの上原慎はスピードに乗ったクロスを入れたり、右足からのミドルシュートを放つなど山形のゴールを脅かしていた。

しかし61分、浮き球の競り合いから山形がボールを収め、右サイドから中島裕希がクロス。ペナルティーアーク付近でディエゴとパウロンが空中で競り合ったそのセカンドに反応したのは松岡亮輔。「相手との駆け引きのなかで素早くセカンドボールを拾いに行けたというのは、地味だけど、自分のなかではいいワンプレーだったかなと思います」と本人も納得の動き出し。足の裏を使ったコントロールから間髪入れずに放ったシュートは浮いてしまったが、「シュートブロックに行っただけ」という石井謙伍の足が一歩遅れてアフターで松岡の軸足を倒す形になり、山形が2度目のPKを獲得。ここもディエゴが落ち着いて1本目とほぼ同じコースに決め、逆転に成功した。

ビハインドになった札幌は直後、前線に都倉賢を投入。しかし、受け手が裏へ抜けたり、間へ下りる動作を連動する山形がチャンスをつくり続けると、今度は守備をテコ入れ。ピッチには2人の「竜」と1人の「馬」がプレーしていたが、74分、ベンチに控えていたもう1人の「竜」、キャプテン・河合竜二を深井に代え4試合ぶりのピッチに送り、立て続けに砂川誠も投入。河合を軸にボールを動かし、押し込んだ状態からの勝負を狙った。

砂川の投入直前、コーナーキックから決定機をつくっていた山形も、手持ちの大駒・萬代宏樹を前線に置く。ロメロ フランクに代わってピッチに入った萬代の空中戦やチェイシング、そしてセカンドボール争いでファウルをもらうなど献身的な動きで再び攻勢に転じると、アディショナルタイムには札幌もパウロンを前線に上げた。その直後、都倉のフリックオンにパウロンが飛び込むシーンもあったが、ここはGK山岸範宏との接触でファウル。山形は残していた3枚目のカードで、アジア競技大会でU-23韓国代表に選出されたイ ジュヨンをパウロンの刺客として送る定跡に沿った采配で、危なげなく試合終了の笛を聞いた。

「やってることは間違ってないし、内容も全然悪くないので、下を向かずに、すぐ天皇杯があるので、そこでまた勢いづけることができるようにやっていきたいです」。札幌、今季初の4連敗という現実にも、深井は気丈に答えた。その一方、「今は結果が大事なので、内容云々より、結果が出ないので、そこは自分たちに足りないところがたくさんあってこういう結果になっているんじゃないか」と語る石井謙伍が表明した危機感もチーム内で共有されているもの。めざす方向性を推し進めながらいかに結果という果実を得るか。難題だが、長考する時間はそれほど残されていない。

得点はPK2つ。欲を言えば、山形はその直前のシュートチャンスを確実に決める形で得点を奪いたかったところだが、これまで取れなかったPKを奪えた背景には、ペナルティーエリア内での決定機が増えつつあることがある。そして、今シーズン初めて為し得た逆転劇も、小さくない成功体験として今後に生きるものだ。「この試合の前の練習で、みんなで集まって話していたのは、悪いときは自分たち、やっている選手でしか抜け出せないということ」とディエゴ。もがきながらも、山形はチームとして一歩成熟が進んでいることを示した。

以上

2014.08.18 Reported by 佐藤円
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