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【J2:第27節 北九州 vs 岡山】レポート:明暗を分けた好調同士の直接対決。自ら流れを作り出した北九州が白星を掴む。岡山は19戦ぶりに黒星。(14.08.18)

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北九州との前回対戦以来、18試合にわたって負けがなかった岡山に「土」が付いた試合となった。互いに勝点1ではなく勝点3を目指して90分を戦い抜き、どちらに勝利が舞い込んでも不思議ではない熱戦。勝点3を最終的に掴んだのは北九州だった。風間宏希の鮮やかな先制ゴールなどで白星を呼び込んで4位に再浮上し、天皇杯を絡めた夏場の3連戦を好発進した。

守備からゲームに入ることの多い北九州だが、この試合では立ち上がりから攻勢に出ていた。前線で原一樹がキープしたり、池元友樹が引いて受けたりして溜めをつくると、ボランチの風間宏希やケガから復帰して調子を上げている左サイドの内藤洋平が積極的に攻撃参加。こうした厚みのある攻撃は14分に早くも結果として表われる。池元の縦パスを高い位置で風間が受けると、「前が空いているのは見えていたので、早い時間帯でしたしここはシュートかなと思って」とペナルティエリアの右端付近から果敢にシュート。弾道鋭く、GK中林洋次もボールに触れることはできたものの、勢いが勝ってゴールに吸い込まれた。

早い時間にゲームが動いたこともあり、対する岡山は繋ぐという選択肢に加えて、長めのボールでも揺さぶりをかけていく。ところがこの選択は結果的には誤算だったかもしれない。長いボールには北九州はセンターバックの前田和哉と渡邉将基が対応。こぼれたりミスがあっても八角剛史が何度もピンポイントのスライディングではじき、ペナルティエリア内でプレーされるのを防いだ。岡山・影山雅永監督は「選手がいろいろなアイデアで揺さぶってくれたと思う」と話したが、北九州ディフェンスの冷静な対応の方がそれを上回っていた。「うちのセンターバックは跳ね返す力があるし、チャレンジ&カバーとプレースバック、セカンドボールを拾うというのはずっとやってきているので、選手はうまく対応してくれたんじゃないか」とは柱谷幸一監督。渡邉も「持ったよりは楽に試合運びができた」と振り返った。

ただ先制したことで北九州の攻撃も少しずつ落ち着いていくことになる。シンプルに組み立てる岡山と、ブロックを構築してカウンターを狙う北九州という、ある意味では歯車がしっかりと噛み合ったようなゲームが淡々としたペースで展開。それは1−0というスコアが続くような予感さえするものだった。

こういう時にゲームが動くとすれば、やはりセットプレーから。岡山は前半から何度となくコーナーキックを得ていたが、そのときは繰り返しハイボールを送り込み北九州の守備陣にはじかれていた。しかし後半立ち上がり50分のコーナーキックではキッカーの上田康太はグラウンダーのボールを選択。意表を突かれた格好となって守備陣の対応が遅れ、島田謙がフリーで同点ゴールを奪取した。18戦負けなしの岡山。セットプレーからの同点弾は反撃ののろしだった。しかし…。もし1−1のタイスコアに動揺して北九州が急に前のめりになったなら、後ろに岡山が使えるスペースができていただろう。ところが試合時間は残り40分もあり、冷静さをやはり失わなかった北九州はそのゴールに揺らぐことなく1点を確実に取り返すチャンスを待ち続けた。

そうして63分。勝ち越し点はフリーキックからの流れからだった。敵陣左サイドからの内藤のフリーキックは一度は弾かれるが、北九州は反対サイドで再構築。先制ゴールを決めている風間が今度はゴール近くにクロスを放ると冨士祐樹が身体を投げ出すようにヘディング。一度はGKが跳ね返すも、「どこにボールがこぼれてきてもいいように準備をしている」と話す池元がしっかりと詰めて勝利を呼び込むゴールを決めた。再び1点差。岡山は押谷祐樹を投入して前線に人数を割いたが北九州のブロックは崩せず、最少点差を最後まで埋めることは出来なかった。

19試合ぶりの黒丸を北九州に付けられてしまった岡山。とはいえ「選手たちの戦いや振る舞い、ファイティングスピリットといったところには全然不満はありません」と選手を称えた影山監督の言葉のとおり、最後まで勝点3を追いかけた姿勢は評価されるべきだろう。試合後の選手たちの表情にはもちろん悔しさが滲んでいたが、黒星を再び糧にして上を目指していけるものと信じている。北九州と同じくJFLへの昇格、J2への昇格、またその初年度で苦労があったチームだ。北九州からみればその背中から学ぶべきところは多い。これからも良きライバルであったり、北九州にとっての良きお手本でありつづけるためにも、高みを目指し続けて欲しいと願う。

北九州は立ち上がりから積極的に攻めて先制点を挙げ、その後はしっかりと守って失点を最小限に留めると、最終的には追加点で相手を突き放した。「ある意味ではうちにハマったゲームというか、完全に我々のゲームの流れの展開になった」と柱谷監督。今季の北九州らしさを十分に感じられたゲームで勝利し、再びチーム最高位タイの4位に浮上した。もちろん4位は何かのオマージュではなく、現時点では単なるマイルストーンでしかない。この日のヒーローとなった風間宏希も「目の前の試合を全力で戦っていくことが積み重なり、最終順位となる」と前を見据える。それでも自分たちが作り出したいい流れでミッドウィークの天皇杯、そして今週末のバトル オブ 九州、長崎戦に進めそうだ。ひとつひとつ積み上げていけば僕らはまだ見ぬ場所に行ける。そんな自信や余韻にひたりながら、今節の筆を置くことにしたい。

以上

2014.08.18 Reported by 上田真之介
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