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【J2:第27節 横浜FC vs 讃岐】レポート:積み重ねをピッチに表現した横浜FCが終始ゲームをコントロールし、目先の勝点3を積み上げた。(14.08.18)

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スコアを見れば4-2と少し大味で、三浦知良選手の最年長出場記録更新も合わせて派手なゲームにも感じられるが、ゲームの内容を振り返ると、「(10戦負なしは)急に起こったことじゃない。キャンプの時からの積み上げもある。いろいろな部分をフォーカスして修正してやってきたのが結果に結びついてきている」という試合後の横浜FC・山口素弘監督の言葉通り、横浜FCが苦しくも積み上げてきたプレーが、目先の勝点3という実を結びつけ始めたことを感じさせるゲームとなった。

讃岐としては、後半に予定している木島良輔、高橋泰の投入まで無失点で行くことがゲームプランの要だった。だからこそ、早めの先制点が横浜FCにとってのポイントで、試合前日に山口監督は「早めに点を取れれば理想だけど、そううまくはいかないのでは」と語っていたが、その理想を、5月31日(第16節群馬戦)以来の先発となった野村直輝が実現する。寺田紳一からフリーでパスを受けると、そのまま右足を一閃。「あの角度はすごい練習していて迷いはなかったし、こうなったらこうなる、という感じで体が勝手に動きました」(野村)というように、練習での積み重ねが生んだゴールだった。このゴールで讃岐の出鼻をくじいた横浜FCがゲームを完全に支配。中盤にすらボールがうまく入っていかない讃岐とは対照的に、効果的にボールを動かしていく。讃岐もエブソンが横浜FCのクロスを孤軍奮闘で跳ね返し続けるが、31分にCKからDF野上結貴がゴール前でフリーになり、チームトップとなる4点目をたたき込む。シュート3本ながら、前半は完全に横浜FCが試合を掌握した。

「新しい選手を2人入れたところで距離感が合わなくなった」と讃岐・北野誠監督は振り返ったが、讃岐は、この日右SBで起用したソンハンキ、トップ下で起用された持留新作をハーフタイムで交代させ、木島良輔を投入。この木島がゴールに直結する動きを見せると、前半攻め手が見つけられなかった讃岐にも徐々にチャンスが生まれてくる。しかし、56分の松下年宏の直接FKによるゴールが、讃岐に生まれつつあったリズムの萌芽を再び押さえ込む。さらに山口監督は、讃岐の圧力で生まれたスペースによりセカンドボールが拾われているところに安英学を投入し蓋をする。83分にフリーになった木島が意地のゴールを見せるが、86分には安が中盤でボール奪取すると、寺田紳一が周囲の状況を見極めて、最後はパクソンホにヒールでスルーパス。パクがファーサイドに流し込み4点目で勝負を決める。アディショナルタイムに讃岐もPKで1点を返すが、試合全体で先手を取りつづけた横浜FCが、危なげなく勝点3を手中に収めた。

横浜FCにとっては、積み上げてきたスタイルを冷静に披露することが出来たという意味で価値がある勝利だった。今シーズンの前半は、持たされてカウンター攻撃から失点するケースが多かったが、ポゼッション自体の質の向上に加え、トップでパクソンホがボールを収められるようになり、相手のプレスへの対応力も向上。さらに、非常によい距離感を生かした攻守の切り替えを鋭さが出てきた。とかく、ポゼッションとトランジションの対立軸でとらえられがちな部分もあるが、ぶれずにポゼッションを磨きつつ、トランジションの力も蓄えているという点で、積み上げがはっきり見えているのではないだろうか。後半の2失点で5試合連続無失点はならなかったが、今後の激しい昇格プレーオフ圏内争いへの教訓にしないといけない。「3-0になってチーム全体の守備の意識が低くなった感じがあった」と野上は振り返ったが、最近の上昇のベースである守備でのタフさを高めて、次の目先の勝点3に繋げたい。

一方の讃岐は、古田寛幸が負傷で不在の影響もあったが、木島が投入されるまで攻撃の糸口を作ることが難しかった。また、ゲームプラン上前半を無失点で終えることが重要なポイントで、讃岐の持ち味であるチームワークを生かした守備が必要であったが、その面でうまくゲームに入れなかったことが敗戦に結びついてしまった。木島は「富山の方がまとまったら強い。そういう危機感を持たないと」とその強い思いを語ったが、ここ数試合の上昇気流を生み出していた讃岐の強みを生かし、残留の可能性を少しでも挙げるための戦い方を徹底していく必要性を認識するゲームとなった。

徐々にリーグ戦の残り試合が少なくなってくる時期で、同時にどのチームも戦い方に成熟を迎える時。横浜FCは「目先の1勝」をキーワードに勝負を決めるプレーへの貪欲さが出てきたが、それもぶれずに積み上げてきたベースがなせる結果。讃岐はこの試合では上手く表現できなったが、ベースの大事さを認識させられた試合。残り15試合で、さらにどれだけ積み上げられるか、それが秋の両チームの結果に繋がっていくだろう。

以上

2014.08.18 Reported by 松尾真一郎
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