夏休みも後半に入りJ2リーグは第27節を迎える。徐々にJ2のリーグ戦も勝点の重みが増してくるころになる。この試合で対戦する横浜FCと讃岐は、直近の試合で上昇を見せているが、一方で両チームともに前節は引き分けと足踏みをしてしまった。両チームとも、前節は勝点2を失ったと感じているだけに、この試合に取り返す強い気持ちを持って臨む大事な試合となる。

横浜FCは、前節の千葉戦は昇格プレーオフ圏内入りに向けて6位との直接対決だった。全力で攻め合った試合で、15本のシュートを放つがゴールには結びつけられずにスコアレスドローに終わった。相手の戦い方を勘案して、選手、そしてベンチが頭脳を振り絞り戦い方を修正していく姿は、このところの好調を反映していたが、一方で「ちょっと技術的なミスだったり、もったいないミスが出た」（山口素弘監督）というように、レベルの高い試合を制する力を見せるまでには至らなかった。山口監督が「こういうゲームをしていたら個人としてもチームとしても力が付くんじゃないか」と感じたように、この千葉戦で体験した高いレベルのサッカーが横浜FCの血肉となってるとすれば、この讃岐戦に勝利をしてそのことを証明するしかない。

前節、内容が良かったと感じられる点があるとすると、シュート数（横浜FC：15本、千葉：18本）が互角だった、ということ以上に、直接FKの数（横浜FC：15本、千葉：7本）に注目したい。これは、50:50のボールに対して横浜FCの選手が千葉の選手よりも先にポジションに入って、一歩速い出足で自分たちのボールにしていた現れ。今節の讃岐戦でも、この姿勢を保つことが重要となるだろう。そして、4試合連続無失点を継続しているようにゲームでの集中力を保ちつつ、決定機でゴールを決めきる力を見せること。ここのところの良い流れを継続し、勝点3に結びつけたい。ニッパツ三ツ沢球技場のスタンドの雰囲気もここのところ非常に良くなっており、その流れは前節のフクアリのサポートでも見せつけていた。この試合では、さらにその流れを加速させたい。

対する讃岐は、残留争いから抜け出す20位（東京V）までの勝点差は7。一歩ずつではあるが、その差を詰めていかないといけない状況。前節の熊本戦は下位チーム相手に勝点3を詰める大きなチャンスだったが、前半のセットプレーでのクリアが中途半端となり失点し、後半アディショナルタイムに劇的な同点ゴールを挙げるが、クラブとしては必須とも言える勝点3を上げることが出来なかった。北野誠監督は「最後に追いつけましたが、この勝点２を失ったというのは大きい」と悔しさをぶつけたが、この試合でも勝点3が至上命令となる。

讃岐は札幌から古田寛幸が加入して以来、チームとしての戦い方がより明確になっているが、それ以前からチームワークは向上していた。横浜FC・野上結貴は「真面目なチーム」と印象を述べているが、攻守の切り替えにおけるアプローチで大きな特長を出している。さらに、ゴールに向かった動きの鋭さは要警戒で、木島良輔、高橋泰といった決める力がある選手が控えている。古田は前節に負傷してしまったが、古田が退いた後に同点ゴールを決める迫力を見せただけに、その勢いをこの試合にもぶつけることが勝点3への近道となる。

前回の対戦（4/29 第10節＠丸亀）では、86分の野村直輝のゴールで横浜FCが勝利。讃岐もチャンスを作っていたが、ゴールが奪えない状況が続く中で横浜FCがペースを握る展開となった。そのときから、両チームとも成長を果たしている。その成長を今度はニッパツ三ツ沢球技場でぶつけ合うことになる。

原稿執筆時点での試合当日の開始時刻（18時）の天気予報は、晴れで28度の予想。ニッパツ三ツ沢球技場は風もあり、観戦しやすい状況になるはずだ。ニッパツ三ツ沢球技場では「浴衣 DE Night」も開催され、浴衣か甚平を着た来場者はイベントに参加できる。ぜひ、スタジアムに足を運んで、勝点3を巡る熱い戦いを応援していただきたい。

以上

2014.08.16 Reported by 松尾真一郎