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【J2:第27節 熊本 vs 千葉】プレビュー:関塚体制になって無敗の千葉を迎える一戦。熊本にとっての鍵は、今まで重ねた経験を生かすこと。(14.08.17)

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台風の影響でキックオフ時刻を1時間遅らせる措置が取られた他、交通機関の乱れも想定して急遽遠征の出発を早める等、試合に臨むにあたってはイレギュラーな条件が絡んで少なからず準備の難しさがあった前節の讃岐戦。熊本は、この試合がちょうどJ2通算100試合目の出場となった齊藤和樹が9試合ぶり、今シーズン5点目となるゴールを決めて先制したものの、後半に入ると押し込まれ、リードした展開をしっかりクローズすることができず、アディショナルタイムに被弾して勝点2をこぼした。

小野剛監督が試合後の会見で「ゲーム巧者になる必要性を感じました」と述べているように、終わらせ方も含めた試合運びの拙さが露呈したことは否定できない。とは言え、「それ(試合巧者になること)が最終目的ではない」と、あくまで「アグレッシブにボールを奪い、アグレッシブにボールを動かす、そのスタイルを貫くことが第一義」(同監督)と強調する。
チームとして目指すのは、どんな相手に対しても同じようにそれができるようになることだ。FWアンデルソン、そしてMF高柳一誠と即戦力が加わって競争は一段と激しくなったが、そうした刺激もプラスの力に変え、またここまで重ねてきた試合の中での経験も――前節のような苦いものも含めて――糧にし、1つずつステップアップしていくことこそ道を拓くすべ。そうした意味でも、今節はチームの成長や進歩を示さなくてはならない一戦と言えるだろう。

迎える千葉は、関塚隆新監督が指揮を執りはじめた天皇杯2回戦も含めると前節まで6戦無敗。シーズン後半を前に監督交代に踏み切った効果がさっそく表れ、11位で折り返したリーグ戦前半から徐々に順位を上げてプレーオフ進出圏の6位をキープしている状況だ。22節以降の直近5試合は2勝3分となっているが失点はわずか2と、GK岡本昌弘、DF山口智らを中心とした守備の安定が、好調を支える大きな要因となっている。もともと能力の高い選手が揃い、パス本数やボール支配率はJ2屈指の数字を誇るが、関塚監督の就任以降、特に守備から攻撃、すなわち前向きのスイッチが入るスピードが増した。これによりチームにはダイナミズムが生まれ、選手のキャラクターがより発揮されるようになったと言っていい。2試合連続で引き分けた背景として決定力が課題にはなっているものの、中村太亮と大岩一貴の左右サイドバックが非常に高い位置を取り、しかも精度の高いクロスボールを頻繁に供給している点を考慮すれば、攻撃回数、シュート数も自ずと増え、それに伴って得点の可能性も高まる。同時に、相手陣内でゲームを進めることで守備の時間は縮まり、それがひいては失点のリスクそのものを減らすという相乗効果をもたらしている。今週はFC東京から幸野志有人の期限付き移籍も発表されており、今節から出場の可能性もある。

前期の対戦では開始2分にケンペスに先制を許していることから、ゲームの立ち上がりとクロス対応が熊本にとっての大きなポイント。「前節もバランスが悪い状態で入れられてファーで合わされた。自分が出られるボールに対しては積極的に出ないといけない」と話すのはGK畑実。クロスへの対応に関しては今週のトレーニングでも意識していたが、「いいボールを入れられたとしても、中でしっかり準備して対応すること」(園田拓也)で、自由な状態で競らせない、打たせないことが不可欠。さらに「クロスだけでなく、クサビのパスに対しても起点を作らせないこと」(篠原弘次郎)も求められよう。
加えて気をつけたいのは、飛び込むとかわされると意識しすぎて、間合いを詰めるのを躊躇することだ。特に谷澤達也には前期もミドルを決められており、アプローチが緩ければ積極的に狙えるという精神的な余裕も与えてしまいかねない。アグレッシブにボールを奪いに行くというベースに立ちながらも、全体でコンパクトな陣形を保ったうえで、ゲームの流れを敏感に読み取り、争点となるエリアや時間帯に応じた正しい判断を重ねることができるかどうかが、攻守両面において鍵となる。もしボールを握る時間が長くなくとも主導権が相手にあるととらえるのではなく、意図した守備を展開することで試合を優位に運ぶことも可能だ。

26試合を終えて19位という数字は、目標として掲げた6位以内という成績からは離れてしまっているが、残りの全ての試合にこれまでの経験を生かし、少しずつ勝点を重ねていけば挽回できない状況ではない。まずはこの試合でその兆しを見せ、小野監督の誕生日に花を添えたい。

以上

2014.08.16 Reported by 井芹貴志
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