3位・磐田と最下位・富山の一戦。上位と下位という違いはあるが、互いに落とせない試合であることに変わりはない。

ホームの磐田は前節、アウェイで福岡と対戦し、1-3で敗れた。首位・湘南はもちろん、2位・松本の差も『7』に拡大。前々節に行われた松本との直接対決で何とかドローに持ち込み、4差をキープしたが、その次の節であっさりと差を拡げられることになった。シャムスカ監督は「リーグは残り16試合。それに全て勝てば48ポイント獲得できる。7差はそこまで大きな差ではない」と豪語するが、気持ちの“糸”が切れてもおかしくはない状況である。

だからこそ、このタイミングでエースが復帰することは大きい。右ふくらはぎの痛みで先月から離脱していた前田遼一は9日に全体練習に合流。今節復帰濃厚だ。復帰後、まだ練習試合でプレーしていないものの、13日の紅白戦で精力的な動きを見せるなど状態は悪くはない。復帰となれば、第21節・京都戦（7/5）以来、約1か月ぶりのリーグ戦となる。

エースの離脱後、磐田は下降線を辿ってきた。前田不在のリーグ5試合で1勝1分3敗。後半戦の低迷はエースの欠場だけが原因ではないが、最前線に背番号18がいない影響は小さくなかった。復帰後の状態について、本人は「いつも通りです」と話している。負傷離脱により、ここ数試合は苦しむチームをピッチの外から見つめることしかできなかっただけに、この一戦に懸ける思いは人一倍強い。

対する富山は前節、ホームで山形と対戦。1-1のドロー決着となり、連敗を『3』で止めたが、リーグ6戦勝ちなしと苦しい状況が続く。21位・カマタマーレ讃岐との勝点差は『6』。後半戦のなるべく早い段階でその差を詰め、一つずつ順位を上げていきたい。

前節終了時点で総得点『14』はJ2ワーストだが、新戦力の加入で攻撃力はアップしている。前節・山形戦では京都から期限付き移籍加入したばかりのFW・宮吉拓実がCKからゴールをマークした。また、そのCKを獲得したのは甲府より期限付き移籍加入したボランチ・井澤 惇。敵陣で得たFKを素早くリスタートさせ、相手の裏を突いた。2人のニューカマーの活躍を安間貴義監督は「2人がうちにないものを加えてくれた。チームの刺激になっている」と評価している。

宮吉は「もっとシュートシーンを多く作っていきたい」と意気込みを語る。さらにU-21日本代表候補メンバーの中島翔哉、高いテクニックを持つ白崎凌兵と若いアタッカーを擁する富山。スピード感溢れる攻撃を仕掛け、ここ5試合で12失点と不安定な磐田守備陣を慌てさせたい。

前回の対戦は第14節（5/18）。前半終了間際の小林祐希のゴールが決勝点となり、磐田が1-0で勝利している。しかし、試合終了間際に富山が決定機を作るなどどちらに転んでもおかしくない試合でもあった。ヤマハでのリターンマッチは再び接戦となるか、それとも、打ち合いか。

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2014.08.16 Reported by 南間健治