前節の敗戦で連勝を逃した新潟は、この1週間、大きな動きがあった。昨季23得点のFW川又堅碁が名古屋に、生え抜きでチーム最古参の元キャプテンMF本間勲が栃木に移籍。チームの顔とも言うべき2選手が抜けた。サポーターを安心させ、連敗を阻止し、そして立て直しをアピールするためにも勝点3が必要なホーム戦になる。

注目は、7月にスペインのバレンシア・メスタージャから移籍してきたFW指宿洋史だ。大宮戦でＪリーグデビューが濃厚だ。195センチの長身を生かしたパワフルなプレーから作り出すゴールシーンに期待がかかる。

秘密兵器がベールを脱ぐ。「だいぶスタミナもついてきましたし、体のキレも出てきました」。指宿は仕上がりに自信を深めている。前節神戸戦はベンチ入りしたが、出番はなし。「もちろん試合に出たいですし、そのための準備をしてきましたから」と、気持ちは戦闘モードに入っている。10日の新潟県国体選抜との練習試合では、新潟に合流後、初めて実戦でフル出場。試合でのスタミナに問題はない。大宮戦はスタメンは微妙だが、途中出場でも「ゴールにつながる仕事をする」ことには変わりない。

練習のミニゲームではスピーディーな連係の中から得点する場面も。高さを生かすだけでなく、スムーズなボールさばきでパスをつないで動き出し、ゴールに迫る形も作った。前線からの守備も怠らない。「もっといい距離感でできるようになれば、チャンスをもっと作れる」。手応えを感じながら、大宮戦への備えを整えてきた。

移籍当初は左ふくらはぎを痛めていたこともあり、リハビリとフィジカルアップに時間がかかったが、ようやくコンディションが上がってきた。新潟の柳下正明監督は「練習でも、自分が点を取れる場所に入ってこれる。嗅覚はある」と評価している。

新潟はリーグ戦再開後5試合で1勝4敗、得点は1。1勝も4敗も、すべて1-0、0-1。指宿は得点力不足解消の切り札だ。「うちはスピードがある。みんなうまいし、スペースを使うこともできる」と攻撃陣の能力の高さを感じている。一方で、「ゴール前で、どかっとした存在がいない。自分がそうなれれば」。柏レイソルユースから直接スペインに渡っていたため、Ｊリーグクラブの所属は新潟が初めてになる。Ｊデビューを果たして、ゴール、そしてチームの勝利を求めている。

大宮はリーグ戦再開後、3分2敗と未勝利。もっとも、0-2で敗れた前節Ｇ大阪戦以外は全て得点している。特にズラタンとムルジャのツートップは、ここ5試合で3得点ずつをマークするなど好調だ。ツートップが自由に動ける時間を多く作ることによって、試合の流れを引き寄せられる。

Ｇ大阪戦では、立ち上がりはコンパクトな陣形からしつこく裏を狙う形ができていた。それが失点を機にバランスを崩し、後手に回った。新潟は得点力は低いが、失点は16と堅守を貫いている。大宮にとっては、最後までバランスを崩さずに相手の背後を狙い続けて先制できるかが、カギになる。

ともに喉から手が出るほど勝利がほしいチーム状況。課題の消化を結果に結びつけることで、勝利を手にして勢いをつけることになる。

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2014.08.15 Reported by 斎藤慎一郎（ニューズ・ライン）