一時の低調の時期を脱し、8月に入ってから柏の調子は上向きにある。第18節の川崎F戦では快勝を収め、スルガ銀行チャンピオンシップ 2014CHIBAでは南米のカップ戦(コパ・トタル・スダメリカーナ)王者であるラヌスとの激戦を制した。前節の横浜FM戦こそ、連戦の影響もあって前半は出足が重く、先に2点を先行される苦しい展開になったものの、後半は持ち直し、アウェイで引き分ける最低限の結果を手にしている。
心配されていた怪我人も復帰した。中断明け以降、怪我で戦列を離れていた近藤直也は、先週のトレーニングから合流、今節の出場に関しては準備万端だ。また、ラヌス戦で負傷し、横浜FM戦はその影響で前半だけで退いた大谷秀和も問題なくトレーニングをこなしている。さらに、これまでは出ていく選手ばかりだったが、ドゥドゥ、エドゥアルドと、2人の新外国籍選手が加わり、登録も完了した。さすがにスタメン起用のサプライズはないだろうが、策士・ネルシーニョ監督だけに、スーパーサブ的な起用ならばあるかもしれない。
対する神戸は、中断明けの4戦で2敗2分と調子が上がらず、前節の新潟戦も前半にマルキーニョスがPKを失敗して、嫌な空気になったのだが、試合終了間際のセットプレーから河本裕之の決勝ゴールによって6試合ぶりに白星を挙げた。
神戸がここ数試合苦戦してきたのは確かである。だがその一方で、昇格チームながら前半戦は上位に食い込んできたのも事実。第2節で対戦した際には、先制点を挙げた柏は試合を優位に進めることができず、徐々に神戸の圧力に押され、辛くも引き分けたという試合だった。
「神戸の要注意は外国籍選手」(栗澤僚一)、「神戸はマルキーニョス、ペドロ ジュニオールがいてFWが強烈」(小林祐介)と柏の選手たちも警戒するように、神戸にはたとえチームのパフォーマンスが悪かろうが、個の力でゴールをこじ開けてしまう強烈なアタッカーがいる。思えば前回の対戦も、ブロックを作って1点のリードを逃げ切りに掛かった柏の陣形のズレを見逃さず、シンプリシオのスルーパスからペドロ ジュニオールに同点弾を献上している。強力な外国籍選手に森岡亮太を含めた神戸のアタッカーを柏がどう抑えるか。
ただ、最大のポイントは中盤の争いになると思う。神戸のボランチは起点を作れるうえに、森岡も降りてボールを受けるケースが多い。柏は、引いて守ったことが裏目に出て、相手の中盤に自由に回された横浜FM戦の教訓を生かさなければならない。栗澤も「F・マリノス戦の後半のように、ある程度は捕まえに行くことが必要になる」と話している。
おそらく、その中盤のせめぎ合いで上回れば、横浜FM戦の後半のように柏は主導権を握れるはず。あとはボランチと2シャドーが縦パスを出し入れしながら、相手の陣形を動かし、マークが食い付いたところで、サイドへ展開すればいい。神戸がここ数試合で結果が伴わなっていなかった時は、中盤でバランスを欠くシーンが目立っていた。そのバランスのズレが再燃するようであれば、そこを的確に突いていきたい。
今季の柏は、アウェイの成績はいまひとつ振るわない。もちろんそれは今後の課題ではあるが、その反面、ホームでは絶対的な強さを誇る。浦和、鹿島、川崎Fという現在上位に並ぶチームも、南米王者のラヌスも、日立台では柏に屈した。
「優勝するために、ここから連勝をしていく」(鈴木大輔)。
反攻に向けて意気上がる柏。日立台を黄色く染める圧倒的なサポーターの力を借りて、今節も勝利を飾る。
以上
2014.08.15 Reported by 鈴木潤
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