状況は節を追うごと切迫してきている。リーグ再開後確かに内容面での成長を見せているものの、結果はと言えば1勝2分2敗。徳島は思うように勝点を上積みできず、依然として上との距離を縮められない。
もちろん中断前との比較であれば前記の結果でも十分と言っていいだろう。中断前は14試合で僅か勝点4しか挙げられなかったのだから。しかし、再開後に掲げ目指しているのは巻き返しによるJ1残留。そのことを考えたなら当然このままでいいわけはない。それだけに徳島にとって今節は、迎える相手が個人力、組織力ともに高い横浜FMであっても、勝利が至上命令の戦いになる。

ただ両者の力関係を冷静に捉えると、ゲームの構図が?攻める横浜FM、守る徳島?になることはおそらく間違いないはず。徳島は我慢の時間を多く強いられることになろう。そしてこの一戦の徳島については、いつもと少し異なる守備の仕方が求められるように思われる。全体のブロックを高めに設定し、前線からのプレスも強めて、出来る限り横浜FMを深い位置へ侵入させない守り方─―。理由は言うまでもなく、押し込まれた場所で取られるセットプレーが今節はかなり大きな脅威になるからだ。

横浜FMのセットプレーはやはり相当に強烈である。中村俊輔というスペシャルなキッカーがいることに加え、ゴール前に入り込んで来るのは中澤佑二や栗原勇蔵。さらにもし富澤清太郎が復帰すればその高さはいっそうパワーアップする。対し、跳ね返さなければならない徳島は空中戦で計算できるのがほぼFW高崎寛之だけ。全員が激しい体の寄せで対処しようとするに違いないが、やはり頭上の勝負は非常に厳しいと認めざるを得ないだろう。となれば、CKも含め、自軍ゴール前で空中戦を挑まれるような位置でのセットプレー献上は禁物。それを安易に与えることは出来ない。

そのような現実要素から、徳島にはやはり自陣へ引きこもらない前目での守備が不可欠と考えられる。そうすることで最終ラインの背後に狙われるスペースが生まれやすくはなるが、そこは好調を維持するGK長谷川徹のカバーと福元洋平やスタメン復帰が濃厚な村松大輔のラインコントロールで凌ぎながら、全体のプッシュアップをキープしなければならない。
それをイメージしてか村松も「果敢なオーバーラップを含め、どれだけ前に出ていけるかが大事で、それが出来れば相手の脅威にもなれる」と話していたが、いずれにしてもその守りの実践度合いによって今節の徳島の命運は決まりそうだ。

開催二週間前の7/31にはもうクラブからA自由席前売り券完売のリリースが流れた。ビッグネームが揃う横浜FMと対する今節への注目度はやはり高く、当日は多くの観客の来場が見込まれている。
ならば、選手たちもより高いモチベーションでピッチに立てることだろう。全員が残留への執念を込めた強気のパフォーマンスをぜひ披露し、必ず3つの勝点をもぎ取ってもらいたいものだ。

以上

2014.08.15 Reported by 松下英樹