終わってみれば脱力感だけが残るゲームだった。過去3戦3敗の天敵・長崎からの初勝利を目前にした群馬だったが、終了間際に悪夢のような失点を重ねてまさかの逆転負け。手に入れるはずだった勝点3を相手へ譲り渡した。下位脱出、中位進出の夢は儚くも夏の夜空に砕け散った。
前半の静かな攻防は後半へのプロローグだった。台風の影響で強風が吹き荒れる中、風下で耐えていた群馬は38分に先制を許してしまう。右サイドからクロスを上げられるとファーサイドへのカバーが遅れ金久保彩にヘッドでゴールネットを揺らされる。前半、群馬が長崎に与えた決定機はこのシーンのみ。強風と互いの駆け引きによってクローズな展開となったゲームは0−1で前半を折り返す。
群馬の逆襲は74分から始まった。時間の進行とともに攻撃のウエイトを上げる群馬は終盤に波状攻撃を仕掛けていく。ロビーニョの低いクロスがファーへと抜けると、それを拾った宮崎泰右が移籍初ゴールとなる低弾道ショットを突き刺して同点に追いつく。「低い弾道で対角を狙った。イメージ通りのシュートを決めることができた」(宮崎泰右)。
同点に追いついた群馬は、攻撃のギアをもう一段上げて長崎へと襲いかかる。79分、小柳達司の右クロスを瀬川和樹が豪快なヘッドで合わせて逆転に成功する。「マークの相手が一歩待っている感じだったので、思い切って前へ入っていった」(瀬川)。意外性の男・瀬川の脅威のヘッド弾で、群馬が勝利をたぐり寄せたかに思われた。
だがゲームは決していなかった。82分、群馬はゴール左約25メートルのFKを与えると、それを石神直哉に直接蹴り込まれて同点とされる。浮き足立った群馬は89分に左サイドを突破されるとイヨンジェに逆転ゴール、さらに91分には右サイドを敗れられてスティッペにダメ押し点を許して、82分から試合終了までの約10分間で瞬く間の3失点。群馬は、長崎の引き立て役に成り下がってしまった。
8試合白星がなかった長崎は、相性の良い群馬に助けられて9試合ぶりの勝利を挙げた。攻撃陣を大幅に入れ替えてゲームへ臨んだが、起用された選手たちが指揮官の期待に応えて結果を残した。1−2と劣勢の場面で、千金の直接FKを蹴り込んだ石神がゲームの流れを一変させた。高木琢也監督の選手交代も奏功した。群馬がボランチ2枚に交代枠を使ったのに対して、長崎は交代策で前線を活性。最前線に圧力を加えたことで群馬守備陣を粉砕してみせた。
群馬は、手痛い星を落とした。逆転した場面のまでの展開はエキサイティングだったが、その後の戦いがあまりにも未熟過ぎた。リードした後のアドバンテージは群馬にあったが好守に中途半端な戦いを露呈、相手に主導権を譲り渡したことが悔やまれる。勝ち越したあとにゲームをきっちりと締める、したたかさと賢さが必要だった。
試合後、高木監督が「盆と正月が一緒に来た印象」と勝利の味をかみしめたのに対して、秋葉監督は「天国から地獄に突き落とされた」と表情を曇らせた。両指揮官の言葉が試合結果を如実に表現していた。
以上
2014.08.11 Reported by 伊藤寿学
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