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【J2:第26節 岡山 vs 湘南】レポート:観る者にも消耗を強いながら、ゲームの面白さ、未来への可能性で観客を引きつけた、見事なスコアレスドロー。(14.08.11)

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ピッチ上に表面張力が働いているように、サッカーのあらゆる面で互いに負けまいという意識が張りつめた激闘だった。「走る湘南に対して、走り勝とう」と臨んだ岡山。緊張感にあふれた好ゲームを終えて、両監督の自分のチームの選手を讃える言葉も印象的だった。岡山・影山雅永監督は、「最後の最後、何とか走ってこじ開けてやろう、というところで相手を上回って走りきるところは、うちの選手たち、やっぱり走れるなと改めて思いました」と。湘南・曹貴裁監督は、「仕掛けて行く試合が出来たと思っているし、走ること、戦うこと、球際の強さで(相手を)上回れたと思っている」と話した。

キックオフから互いに細かく、ハイスピードな攻撃を仕掛け、最終ラインでは身体を張って譲らず、攻守はすぐに相手へと移った。岡山は清水慎太郎が第20節・京都戦以来、石原崇兆が第22節・福岡戦以来の先発。湘南は武富孝介が2試合ぶりの先発だった。奪って、奪い返される展開の中で、最初に訪れた山場は前半22分。岡山は自陣での対応が続いていたが、奪われかけたボールを千明聖典がマイボールにして、三村真へ。三村が左サイドを駆け上がり、オーバーラップしてきた田所諒へ渡そうというところで奪われ、湘南がカウンターに持ち込む。ウェリントンのクロスを武富が落とし、亀川諒史がシュート。これは田所がクリアする。

食いつき、外され、J2屈指の運動量とスピードがぶつかり合う激しい攻防が、0−0の均衡を保ったまま前半を終える。久木田紳吾は的確な予測で身体を張って止め、千明が攻撃につながる守備から躍動する。怪我から復帰2戦目の清水は、前線でうまく収め、攻撃の糸口を作り出そうとしていた。最近の数試合で、岡山は攻撃に移った時にサポートの枚数が揃う理想的な形を作っていたが、湘南相手では前に人数を多くかけられなかった。湘南は秀逸な連係でゴールに迫りながら、クロスに合わせる精度に欠けた。

両監督のハーフタイムコメントもこれまでより凄まじさを増していた。影山監督は、「最終的には勝ちたい気持ちが勝負を決める」。曹監督は、「足が止まった方が負けだ」。後半10分には、湘南がPA付近でつないで、左からのクロスに藤田征也が頭で合わせる。しかしその直後には、岡山がゴールキックから片山瑛一、石原、清水で仕掛け、そのシュートのこぼれ球を三村真が拾い、上がってきた田所諒のクロスから最後は再び三村がシュートを放つ。ボールを持てばすぐに数人で寄せてくる湘南の守備。それをかいくぐろうと思いきって人数をかけ、繰り返しマイボールにして作り出した攻撃には岡山の魂が見えた。この時間帯、スタジアム全体に起こった手拍子が、息をつかない展開に同調して「この美しい人たちを見てごらん」と言い続けているようだった。岡山のGK中林洋次のファインセーブが見せ場を作ることになった後半、シュート数は岡山が8本、湘南が12本だった。「最後に一本、ねじこめたら良かったんですけど」(曹監督)という思いは両チームが表現したが、互いにゴールを割ることはかなわなかった。

4月の対戦後、岡山の「戦闘能力」(影山監督)は、湘南の影響下で強化されていた。その代表的な、わかりやすい例がピッチに倒れている時間をなくすための努力。ひとりが倒れていると、その間ピッチ上で戦う人数は減っている、その状況を失くそうと日々のトレーニングから檄が飛ばされていた。相手のファウルを誘発する回数がチームでもっとも多い石原崇兆も、「倒されると影さんから『ころころ転がってるんじゃない』と言われるので、コケないようにしている」と話していた。見本にしたチームと見本にされたチームの力の差は縮まり、その対戦のハードワークを「J2の醍醐味」と表現することが正しいかどうかはわからないが、このゲームの緊張感は、消耗を強いながら、ゲームの面白さ、未来への可能性で観客を引きつけた。

以上

2014.08.11 Reported by 尾原千明
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