「とにかく枠の中に飛ぶように、感覚で打った」。70分、石田雅俊からのパスを大黒将志が右足で蹴り込んでゴールネットを揺らし、京都が決勝点を奪う。立ち上がりから互いに攻め合い、チャンスの数はどちらかと言うとホームの札幌のほうが多かった。しかしながら、大黒がこの日唯一放ったシュートをしっかりと決めてしまう。まさに、これがエースの活躍。1−0のスコアでアウェイの京都が勝点3を得ている。
試合の方は、前述したように立ち上がりから互いに攻め合う展開となった。札幌も京都も、共にしっかりとパスを動かして攻めようとするチームであり、その特徴がハッキリと出たゲームだった。双方のファン・サポーターはそれぞれに思うところがあるかもしれないが、客観的にはアグレッシブで見応えのある内容だったと感じている。
どちらもパスをつなぎながら押し込むスタイルではあったが、その質という意味では京都が一枚上手だったとも思う。札幌の方は守備的MFの上里一将、深井一希が起点となり小野伸二、宮澤裕樹らとテンポよくパス交換をしていくのだが、そのパスはワンタッチ、ツータッチでスピーディに動いているが故に、逆に言えば京都の方はゆったりとスペースを埋めて流れを見ていれば対応はできてしまう。
しかし、京都のほうはドリブルを織り交ぜ、相手守備者が近づいてきてからパスを展開したり、わざとスピードの遅いパスを蹴り、札幌の選手が食いついてきたところで逆サイドに展開するなど、相手を“はがす”パスワークを見せていた。札幌も京都も同じようにパスをつなぐスタイルではあるが、京都のほうは相手守備を走らせるパスワーク。そのぶん、札幌イレブンの体力を消耗させることに成功していた。
だが、それでもより多くのチャンスを演出していたのはホームの札幌の方だった。地元の声援を受けて積極的に敵陣へと迫り、スピード感ある攻撃で縦に飛び出していく。49分に内村圭宏のコントロールシュートが右ポストに弾かれると、55分には宮澤裕樹がドリブルで持ち込んで決定的なチャンスを得るも、シュートは僅かに左へと外れてしまう。得点こそ生まれなかったものの、後半立ち上がりの時間帯までは札幌が優位に試合を進めることができていた。
そうした中で生まれたのが冒頭のプレーだったわけである。「いい形でボールを保持して攻めていても、点が取れなければこういう展開になってしまう」と内村が悔しがったように、札幌に好機を与えながらも我慢を続けていた京都が大黒の一振りで白星を手繰り寄せてしまったのだ。
そしてその一振りを含めて大黒はこの試合での狙いをこう振り返る。「札幌の左右サイドバックは高いポジションを取ってくるし、サイドのスペースに張っていれば、センターバックの選手を引き出せる」と。そうして石田とともに積極的にサイドのスペースへ流れてパウロン、奈良竜樹という札幌のセンターバックの意識を少しずつ外側へと向けておいての、中央からの決勝弾。シュートのうまさもさることながら、90分間を通しての戦略も巧みなもの。得点シーンにばかり目が向いてしまうかもしれないが、積極的なコーチングで周囲を動かして守備網を作ったり、疲れの見えた試合終盤にもプレスバックして守備を行ったりと、この試合における大黒のパフォーマンスは見事なものだった。
繰り返しになるが、チャンスの数はホームの札幌の方が多かった。京都のシュートも札幌の3分の1以下の5本だけ。そうした中でこの日の勝点3の行方を決めたのは、ザックリと言えば大黒というストライカーがいたか、いなかったか。その部分の占める割合はあまりにも大きいだろう。
シュートを決める。そのプレーの重要さが、よりクローズアップされた試合だった。
以上
2014.08.11 Reported by 斉藤宏則
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