前節、山形戦の敗戦を受け、田坂和昭監督は「中盤のバランス」とターゲットとなる「ラドンチッチの活かし方」を選手たちに強調した。それに対し、選手たちは忠実だった。
序盤から大分は、空中戦を制圧するラドンチッチにボールを集め、こぼれ球に素早く反応し、二次攻撃につなげていく。ラドンチッチを警戒するあまり相手CBはラインを下げざるを得ず、ボランチと最終ラインの間のスペースが広がりはじめる。開始4分、結果を追求した大分の願いが早くも実を結んだ。中央でパスを受けた伊藤大介が「トラップした時、相手が(プレッシャーに)来なかった」と右足を振り抜き、鮮やかなミドルシュートでネットを揺らした。その6分後には、風間宏矢が左サイドから中央に切れ込み、シュートを狙う得意の形で2点目を奪う。大分はその後も好機を作り、そこで3点目を奪っていれば楽な展開になっていたはずだ。
後半になり、東京Vは選手交代とポジション変更により、勢いを増していく。相手の猛攻をまともに受ける格好となった大分は、58分に中央の混戦から杉本竜士にゴールを決められると、79分についに同点ゴールを献上。後半になり息を吹き返した相手に受け身となり、ボールを奪っても分厚い攻撃が展開できず、単発なカウンターに終始した。しかし、81分にイケイケになった相手の攻撃の隙を突き、途中交代の林容平がカウンターからペナルティエリア内で倒されPKを得ると、ラドンチッチがきっちりゴール左隅に決め、そのまま逃切った。
試合後の会見で田坂監督が「しんどかった」と振り返ったように、2点のリードを守り切れば快勝で終わった試合だろう。しかし、失点の多いチームは、これまでの試合と同じように自らペースを乱し、難しい試合展開へと導いてしまった。守備のパフォーマンスが安定せず、その日の試合展開は始まってみないと分からない。「守備の部分を何とか改善しないといけない。そのことで頭がいっぱい」と指揮官の頭を悩ます課題は簡単そうではない。だが、攻撃においては自分たちのストロングポイントの生かし方は、この試合の端々に見えた。選手たちは迷わず次の一歩を踏み出せるかが、次へのステップとなりそうだ。
一方、前半に2点のビハインドを負った東京Vは、勝利まであと一歩のところまで追いつめた。この粘りは本物だ。三浦泰年監督が「選手は非常にハードワークをしたと思うし、成長と積み重ねを感じた」と語ったように、最後までアグレッシブな姿勢を見せた。とりわけ後半から出場した安西幸輝のパフォーマンスは圧巻のひと言。ボールを受ければ果敢に仕掛け、そのままチャンスにつなげていく。怪我により交代を余儀なくされた井林章のためにというチームの一体感もあったが、チームに勢いを与えた。
結果は2連敗となったが、決して下を向くような内容ではない。この試合も前線からの守備、相手の背後のスペースに縦パスを入れる攻撃ができたことも確認できた。自分たちの長所を信じて、焦らず戦えば順位は自ずと上がるはずだ。
以上
2014.08.11 Reported by 柚野真也
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