前節アウェイ栃木戦の４２分、讃岐を応援する全てのエネルギーが集約されたようなゴールが岡村和哉の右足から生まれた。本人曰く「ビックリした！！」その場面を振り返ると、左サイド沼田圭悟からのクロスはゴール前で待つ古田寛幸の頭にドンピシャ。しかし、これは右ポストを直撃。その跳ね返りを我那覇和樹が２度シュートするがキーパーとゴールポストに阻まれるなど、今までに何度も見た光景が繰り返された。嫌なムードになりかけた直後のコーナーキックからのこぼれ球に反応したのが岡村のミドルシュートだった。そのボールは、誰も一歩も動けない速さで右ゴールポストを直撃した後、ＧＫに当たってゴールネットを揺らした。前半戦、２勝しかできなかったモヤモヤや、最近の試合でのＰＫ失敗などを払拭するような値千金のファインゴールだった。

新戦力の活躍も頼もしい材料だ。ガンバから期限付き移籍のＤＦエブソンは初戦となった第２２節富山戦こそコミュニケーション不足で戸惑う場面もみえたが、栃木戦では落ち着いてボールを回して安定したプレーを見せた。札幌から期限付き移籍のＭＦ古田は初出場となった第２３節岐阜戦、好クロス連発でアシストを記録。第２４節磐田戦、第２５節栃木戦では連続ゴールを決めるなど完全にチームにフィットしている。ここにアンドレアやソンハンキがケガから復帰することを考えれば、讃岐の戦力はかなり分厚くなる。

北野監督に熊本戦の意気込みを聞くと「連勝に挑む権利を手に入れて嬉しい。前回の轍を踏まないように前半の開始１５分までは特に慎重に、相手のアプローチの速さを交わしてグループで戦いたい。ホームで連勝に挑むこのチャンスをものにできなければ今シーズンは難しくなる。そのくらいの気持ちで選手には戦ってほしいと思う。でも、まあ、うちはenjoy football togetherだからな（笑）。苦しい状況だけど選手にはサッカーを楽しんでもらいたい。そうすれば、結果がついてくるんじゃないかな・・・・」

一方熊本は前節、数的有利の中１７本のシュートを打つが無得点で敗戦。後半戦に入って１勝３敗と波に乗れない。熊本の小野剛監督は前節の敗戦を振り返って「選手たちは、自分たちがゲームをコントロールしながら進めていくところに一歩踏み込んできてくれた。そこを大事にして、本来進むべき方向にしっかり進んでいくことが、いちばん重要だと思う」と語った。今節がＪ２通算１００試合出場となるＦＷ齊藤和樹は「シュートを打てるところは打とうと意識しているけど、それが枠に行ってない。攻撃では、ワンタッチのタイミングで動いて３人目とか、連動してもう少しいいコンビネーションができるようにしたい」と語っている。

Ｊ２残留という明確な目的に向かって、２０位東京?との勝点差は現在８、次の直接対決（９月６日）までの４試合で勝点差を詰めておければ、リーグはさらに盛り上がるはずだ。台風が過ぎ去った丸亀競技場で歓喜に包まれるのは讃岐か熊本か。男たちの熱い戦いがそこにはある。キックオフは午後６時、スタジアムで両チームに熱い声援を送ろう！

以上

2014.08.09 Reported by 大森一（オフィスひやあつ）