このチャンスを逃がしてはいけない。群馬は前節熊本戦で１−０の勝利を挙げ、過密日程の３連戦を２勝１分で乗り切った。順位こそ17位だが、７位京都との勝点差は５。ようやく下位脱出態勢が整ったと言える。今節・長崎、次節・岐阜のホーム２連戦は、秋葉忠宏監督体制２年目にして迎える大きなチャンス。群馬は今節・長崎をセカンドホーム熊谷に迎え撃ち、上位追撃への狼煙を上げる。

前節は群馬にとって試練だった。後半早々にロビーニョの今季７得点目となるゴールで先制に成功したが、同18分にDFリーダー青木良太が一発レッドで退場となり数的不利の戦いを強いられる。だがその後の約30分を新守護神富居大樹を中心としたしぶとい守備で虎の子の１点を死守。敵地で勝点３を持ち帰ることに成功した。永田亮太が「我慢すべきところでうまく戦えるようになってきた」と話すように、チームは成長曲線を描きつつある。

今節のポイントは、青木良太不在のDFラインをいかにコントロールするかに尽きる。群馬は、青木良がCBのポジションを任されるようになった17節以以降安定した戦いができるようになっている。青木良不在の影響は少なくないが、それを乗り越えなければ勝利はない。前節同様に４バックを選択するのであれば代役は乾大知がファーストチョイスとなるが、長崎に合わせて３バックへシステム変更するならば小柳達司、ファンソンスら選択肢が増える。小柳は「どのポジションでも役割を果たすだけ」と長崎戦へ向かう。

群馬の攻撃を活気付けるのはブラジル人たちだ。群馬は先月29日にブラジル人FWカイケの新加入を発表。U-15ブラジル代表の経歴を持つ18歳のFWの合流によって、エデル、ロビーニョ、カイケのブラジルトリオが誕生。カイケが試合に出場するにはまだ時間を要するが、チームのムードは上昇。ロビーニョは「ブラジル人が増えるのは自分たちにとってピッチ内外でプラス。僕らでチームを引っ張っていきたい」と陽気な笑顔をみせる。今節はロビーニョ、エデルのアベックゴールも現実味を帯びている。

群馬にとって長崎は、天敵だ。昨季の初対戦から３戦３敗。今季の開幕戦では意気揚々と乗り込んだ敵地・長崎で０−２と完敗を喫した。長崎は17節横浜FC戦で勝利を収めて以来４分４敗。８試合連続白星から遠ざかり苦しい状況へ追い込まれているが、簡単に倒せる相手ではない。前節ホーム岐阜戦に敗れ18位へと転落した長崎はまさに崖っぷちの状況。手負いの虎だ。秋葉監督は「甘さが出たらすぐにやられる。相手より走って、相手より戦うだけだ」と長崎戦初勝利を狙う。

今節のゲームは、正田スタではなく熊谷（埼玉県）で開催される。当日は、台風の影響で天候が荒れることが推測され、タフなコンディションでのゲームになることは確実。埼玉県出身のFW宮崎泰右は「熊谷は、自分が大宮ユース時代にナビスコ杯でプロデビューしたピッチなので良いイメージがある。長崎には開幕でボコボコにされたので、絶対に借りを返したい」と気迫をみなぎらせる。群馬は今節勝てれば最高で12位まで順位を上げることが可能。群馬は天敵長崎を蹴散らして、J２勢力図を一変させる。

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2014.08.09 Reported by 伊藤寿学