夏真っ盛りに開催されるこの第26節。札幌ドームでは現在勝点34で11位の札幌が、同35で7位につける京都を迎え撃つ。勝点差わずか1という位置関係。3月に行われた前回対戦は1−1のスコアで引き分けているカードだ。
ホームの札幌は前節、敵地で北九州と対戦して0−2で敗戦。前半にパスミスからカウンターを受けて失点すると、後半にも不用意なプレーからPKを献上してしまう。退場者を出して数的不利となってからもパワープレーを仕掛けて果敢に攻め続けたが、結局ゴールは割れないままに敗れ、2連敗となってしまった。
「選手達は最後まで諦めず、得点を奪うという気持ちを持ってやってくれた」と財前恵一監督は振り返る。PKを与えたファウルで櫛引一紀が退場処分となり人数が少なくなりながらも、最後まで得点を奪うべくアグレッシブに攻め続けたし、実際にシュートも相手の4倍となる20本を放っている。攻撃は続けながらも、相手の堅い守備を崩しきれなかったという試合である。
さらに振り返れば、その前節の横浜FC戦もボールを保持して攻める時間帯が多々ありながらも得点が奪えず完封負け。パスつないで攻めるという、チームが目指すスタイルのベクトルこそ表現しながらも、肝心な結果へとつなげられていないのがここ2試合の実情だ。
そうしたなかで6日には未消化だった天皇杯2回戦を戦い、日程を考慮してここでは大幅なターンオーバーを敢行してはいるものの、5−0で大勝している。この京都戦とどこまでメンバーが重なるかはさておき、ひとまずは得点のイメージが高まったであろう部分に期待を込めたいところだ。
一方、北海道に乗り込む京都の前節はホームで水戸と対戦して1−1のドロー。前半から数多くのチャンスを作り、後半に入っても主導権を握って得点を奪いながらも追加点までは至らず。そうしたなかで同点弾を浴びてそのままタイムアップという、内容面では充実していながらも勝点3を奪い切れない悔しいゲームだった。
「前半に得点が欲しかった、必要だったというのが一番」とは試合後の川勝良一監督の弁。確かに立ち上がりからペースを掴んでいたし、90分を通しても相手の倍以上のシュートを放っている。そうしたことを考えると、早い時間に得点を奪っていればワンサイドゲームになっていた可能性も大いにあるだけに、ある意味ではもったいない試合だったとも評せるはずだ。直近の6試合では1勝にとどまっている要因も、フィニッシュの部分にあることは間違いない。ボールはかなり支配できているだけに、最後のところは早急に改善が必要となるだろう。
さて、そうして双方のここ最近を振り返っていくと、状況としてはどちらも似たものがあると感じる。ボールはそれなりに支配して主導権を得ながらも、フィニッシュのところが足りずに勝点3を取りきれない。その意味でいえば、この試合においてはどちらがその最後の部分をやりきるかが勝敗のカギとなるだろう。
そうしたなかで京都のほうは夏の移籍期間に神戸から獲得した田中英雄が前節にデビューし、ハードワークと縦への推進力を発揮してチームに勢いを与えていた。この選手がよりフィットすることで攻撃のパワーや精度はより高まるだろうから、この試合でも大いに期待が持てそうなところである。そして札幌のほうも前述したように水曜日の天皇杯では5得点を奪っており、そこでは相手ボールを奪った際に素早く縦にパスを動かして攻めきって得点しているため、得点力向上のひとつのヒントを自分達で見出したとも言える。
いずれにせよ、どちらも主導権を握ってしっかりとパスを動かしながら攻めようという攻撃的なスタイルのチーム。ともにアグレッシブに敵陣へと攻め込む、見応えのあるゲームになることは間違いなさそうだ。
以上
2014.08.09 Reported by 斉藤宏則
J’s GOALニュース
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